“今月の”優先順位高めです 【2021年5月号】

2021.05.01

優先順位高め

3度目の緊急事態宣言が4都府県で出ました。伴い多くの公演の中止や延期の連絡が舞い込んできています。そんな中ではございますが、幕が開く公演があるならば、それを全力で応援したい!と思っております。というわけで21年5月の「優先順位高めです」です!
※緊急事態宣言期間が延長される可能性もございますので、公演の実施に関しては各公式HPなどでご確認ください。

俳優・小沢道成の優先順位高め!

ゆうめい『姿』
実はまだ一度も観たことがないゆうめいさん。やっとタイミングが合い生観劇することがとっても楽しみなのですが、是非ホームページをご覧になってほしいのです。キャストの紹介だけでなく、スタッフ紹介も掲載しています。このスタイルが各方面でも広まってほしいなと密かに思っています。あ、あの好きだった舞台の照明家さんだ!とか、この方の音響好きなんだよなー!とか、好きなスタッフで観劇を選ぶことが増えると、劇場へ行くワクワクも増す気がしています!ちなみに僕は、舞台美術・衣裳の山本貴愛さんのファンなので、更にゆうめい『姿』が楽しみなのです。

小沢道成
俳優。EPOCH MAN主宰、作・演出・美術も手掛ける。宣伝美術で観劇を選ぶことが多いです。そして口コミ情報。最近はなんだか呟きにくい世界ですが、ひとつの口コミが観に行く強い動機になっています。どんどん教えてください!
Twitter:@MichinariOzawa

女優・田代明の優先順位高め!

はじめまして、劇団4ドル50セントの田代明(あかり)です。5月絶対に観なきゃなぁと思うのはPARCO PRODUCE 2021「ピサロ」。昨年、10回のみで中止となってしまった本作ですが、中止が決まったと同時に主演の渡辺謙さんご自身が再演を持ちかけられたんだそうです。1985年にはアタウアルパを演じられた謙さんが、ピサロを演じ、そして公演途中での中止を経ての今回。謙さんは作品に関わってから終えるまでを一つの「旅」だと捉えられるらしいのですが、だとしたら今回は物凄く激しめの「旅」なんじゃないかと。そんな旅路を全身で浴びにいきたいです。他にも、藤原竜也さん石原さとみさんら出演「終わりよければすべてよし」、野田地図「フェイクスピア」、竹内涼真さん初舞台の「17 AGAIN」が気になってます!

田代明
女優。秋元康プロデュース「劇団4ドル50セント」劇団員。東京藝術大学声楽科卒業。「お芝居の素敵なミュージカル女優さん」と言われる為に、日々いろんな作品を勉強中。そしてシンプルな観劇オタク。
Twitter:@Akari4_50

ライター・横川良明の優先順位高め!

ゆうめい『姿』
2019年の初演時に、ものすごく評判の高かった作品。見逃した!とハンカチを噛んだ方もいらっしゃったのではないでしょうか。安心してください。僕もです。作・演出の池田亮の実体験をもとに描く家族の物語。それに実の父である五島ケンノ介が出演する。もうそれだけでワクワクします。いったいどんな世界を見せてくれるのか。今回こそは、万難を排して観に行きます。M&Oplaysプロデュース『DOORS』
演劇、できればハズレは引きたくないですよね。幕が上がるまで、いまいちあらすじもよくわからないことが当たり前にある演劇の世界。その中で、少しでもハズレを引かないようにするためにどうしたらいいかというと、やっぱりお気に入りのつくり手を見つけることだと思います。僕にとって、M&Oplaysの手がけるプロデュース公演は信頼と安心の品質。4月の『白昼夢』も面白かったし。ということで、次は『DOORS』です。作・演出は『鎌塚氏』シリーズなどでおなじみの倉持裕。たっぷり楽しませてもらえることを期待しています。

横川良明
ライター。演劇・映像を問わず幅広く取材。演劇集団キャラメルボックスと惑星ピスタチオに魅せられて演劇の世界へ。観る人に情熱と希望を与えてくれるようなお芝居が好きです。
Twitter:@fudge_2002

ライター・河野桃子の優先順位高め!

4都府県の緊急事態宣言により、厳しいお知らせが日々舞い込んでくるようになりました。複雑な、苦しい思いや声であふれますが、中止を決断された公演、上演を予定している公演すべてを応援します。先行き見えない日々ですが、今月の優先順位高め、初日順にご紹介できるだけおこないます……!!4月末のGWから静岡では『ふじのくに?せかい演劇祭2021』が開催中。今敏の人気アニメを藤田俊太郎さん演出で舞台化『東京ゴッドファーザーズ』、メインキャストは松岡昌宏さんほか。カレル・チャペックの戯曲 『母  MATKA 』を文学座の稲葉賀恵さんが演出し、俳優・スタッフともにこだわりを感じます。渡辺謙さんや宮崎氷魚さんら出演の『ピサロ』は去年、コロナウイルスの影響で公演中断したけれども「良かった!」との声が多く、期待のアンコール上演!また、NODA・MAP『フェイクスピア』は先行からチケット争奪戦でしたね。イキウメ『外の道』は劇団サイトで台本公開されているので読んでからの観劇もおすすめです。
中止となった渡辺源四郎商店(『親の顔が見たい』)や演劇集団円(『ピローマン』)なども今後の活動を応援しております。感染症対策のうえ、演劇を求めて来られた方々と、劇場で、オンラインで、心の袖が振り合えることを楽しみにしています。

河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
Twitter:@momo_com

ライター・古内かほの優先順位高め!

『ロミオ&ジュリエット』がキャストを一新しての上演。フレッシュな面々が集結したこともたのしみですが、これまで振付で携わってきた小?健太さん(『エリザべート』の振付なども担当)が、ついにご自身で「死」のダンサーを演じられるので、これはぜひとも目撃しなければ…!と使命感に駆られています。宝塚版とはまたひと味違ったロミジュリの世界を堪能したいです。
『グレイテスト・ヒッツ・フロム・ミュージカルムービー』は耳馴染みのあるミュージカル映画のナンバーを思い切り浴びれそうなので、心の中で一緒に絶唱して盛り上がりたいところ。どのキャストの組み合わせで観ようか、悩ましくも考える時間すらたのしい『レ・ミゼラブル』の上演も待ち遠しいです。
緊急事態宣言に伴い、またしても演劇を含めたライブ・エンタメ事業が苦境に立たされている状況に、これまで感染対策に費やしてきた企業や演者、スタッフの努力と労力、そして観劇する上での観客の協力は一体何だったのか…と、やるせなく悔しい気持ちでいっぱいですが、これから先、予定されている全ての公演が開幕し、無事に千穐楽を迎えられることを心から願っています。

古内かほ
ライター。観劇の入り口は小劇場から。近年はミュージカルと宝塚歌劇団を中心に観劇しています。
今年はダンス公演も積極的に観に行きたいです!
Twitter:@kahonfuu

ライター・中川實穗の優先順位高め!

先行発売を待ち構え、最速でチケットを購入したのはイキウメ『外の道』。去年から待っていました。「チケットが買えた、イキウメが観られる」というだけでワクワクします。新演出版が日本初演となるブロードウェイミュージカル『メリリー・ウィー・ロール・アロング』~あの頃の僕たち~ は、どんな作品になるのかと楽しみにしているもののひとつ。「なぜこうなったのか」「どこで間違えたのか」を描くというストーリーが、わたしの優先ポイントです。想像したり感じたりすることが辛い時が続きますが、劇場では安心して心を全開にできます。稀有な場所です。

中川實穗
ライター。日本の戯曲が多めですが、ジャンル問わずに観ます!
Twitter:@miho_sgt

ライター・岩村美佳の優先順位高め!

今月は『メリリー・ウィー・ロール・アロング』に期待しています。発表になったとき、豪華キャストのラインナップに驚きました。これだけの実力もスター性も兼ね備えたキャストの方々が、シングルキャストで集結するのは、ありそうでないこと。しかも親友役の3人はリアル同級生。巨匠スティーブン・ソンドハイムの音楽を、これだけのキャストで歌うのかと興奮します。2013年に観損ねて以来(汗)、首を長くして上演をお待ちしていました! 4月末から悲しい公演中止が相次いでいます。GWは、観劇予定だった『エリザベート TAKARAZUKA25周年スペシャル・ガラ・コンサート』などの配信公演を観まくろうかと思っています。

岩村美佳
フォトグラファー・ライター。初観劇は小学生の時に観た宝塚。ミュージカルを中心に色々と観劇しています。配信観劇も存分に楽しめるようになりました。超絶猫好き。
Twitter:@nyanyaseri

演劇ジャーナリスト・徳永京子の優先順位高め!

大変恐縮ながら、今月はすべて自分が関わっている公演を挙げさせていただく。義務感ではなく、どれも広く紹介する価値があると思うから。光が点いたり消えたり、刻々と変化する日々で安心はできないが、上演を信じて。
まず、ゆうめい『姿』。作・演出の池田亮は、ハイバイ・岩井秀人の“自分の悲惨な経験を演劇に(して客観視)する”ワークショップで演劇に目覚め、岩井の演出助手を務めてきたので、当然、強い影響を受けている。けれども2019年に初演されたこの作品で決定的に脱皮し、その先に進み始めた。それは、過去と現在と未来の距離が近いこと。心理的な近さは美術に影響し、物理的にもクルクルと移動する。そして被害者と加害者を描く時、双方に対する距離が徹底的に等しくなった。「こんな事情があってこの人は加害者になった」が、「だから可哀想」で終わらないし、「だからといってやったことは正当化されない」で着地もしない。感情や倫理観とは別の残酷なくらいの公平さが、ゆうめいならではのドラマを生む。またおそらく池田には、戯曲を人物の気持ちとは別のカメラで脳内再生する能力があって、それを備えている演出家は多くない。老若男女に観てほしい。
実は7月に開催予定の芸劇eyes番外編vol.3『もしもし、こちら弱いい派』に参加をと考えていたのだが、ゆうめいはフルサイズの作品を観てもらおうと、単独で芸劇eyesに登場してもらうことに。
次に、公社流体力学『夜色の瞳をした少女、或いは、夢屋敷の殺人』。一昨年のせんがわ劇場演劇コンクールでグランプリを受賞した記念公演で、本来は昨年上演の予定だったものがコロナ禍で今年に延期された。公社流体力学は太田日曜のひとりユニットで、とにかく美少女にこだわった作品を書き、ひとりで演じている。いや、“演じている”と“語っている”の中間か。本人も稲川淳二を尊敬していると話していたが、「怪談ではなく美少女の活躍譚を語る稲川淳二」、あるいは「『トーキングブルース』サブカル版」と言えばイメージが湧きやすいだろうか。実際、コンクールでもほとんどの観客、審査員が彼を知らず、自分が何を観ているのか把握するのに時間がかかった。けれども公社流体力学の吸引力は強力で、着替えも小道具もなし、凝った照明も音響もない、もっと言えばあまり滑舌も良くない語りで次第に観客の耳をつかみ、会場を湧かせ、最後は喝采を浴びたのだった。今作も美少女が活躍する話だが、公社流体力学の定義する美少女とは見た目や年齢ではなく、心の美しさ。不思議にあとを引く彼の舞台にぜひ触れてほしい。ちなみにアフターイベントもひとりでトークするそう。
最後は「第11回せんがわ劇場演劇コンクール」。こちらも1年延期され、本来は昨年開催されるはずだったが、幸いなことにファイナリストも専門審査員もまったく欠けることなく、2日間で5組の団体が実力を競い合うことに。1日目は抗原劇場、ムニ、ほろびて、2日目は劇団灰ホトラ、オパンポン創造社と、かなり期待できる顔ぶれが集まって、私自身、非常に期待が高まっている。せんがわ劇場演劇コンクールは予約さえすればどの回も無料で観られ、全団体を観た人はオーディエンス賞に投票できるが、今年は座席数を削減するため、予定枚数がかなり少ない。その代わりというわけではないが、2日目の表彰式とそのあとの講評は生配信される。このコンクールは講評を大事にしており、すべての専門審査員がすべての団体について感想を述べる。プロはどんなポイントで作品を観てそれをどんな言葉にするのか。日曜の夜なので、自宅でゆっくり観てほしい。

徳永京子
ひとつの作品についてだらだら考えるのは悪くないと最近は思っていて、上演期間が終わった公演でも感想をつぶやくことに前向きです。
Twitter:@k_tokunaga

ローチケ演劇部_白の優先順位高め!

まさか再びこんなことになるなんて思っていなかった5月。六本木トリコロールシアターで上演される『トランス』が観たかった。大好きな作品で、初演版はそれこそビデオ(死語?)が擦り切れるまで何度も観たし、戯曲も買って、みんなで読んだりもした。久々に劇場で観られるのを楽しみにしていたけど、叶いませんでした。悲しい。同じくタイミング合わずにここのところ観れていなかった「マームとジプシー」も優先順位が高かった。そう高かった。悲しい。緊急事態宣言が出てから悲しいお知らせが続くので、心が折れそうになります。なので12日以降の高め作品を!ゆうめい「姿」再演はマスト。そしてKAATで上演される新ロイヤル大衆舎『王将』-三部作-も絶対観てやるぞ!って思っています。