“今月の”優先順位高めです【2022年3月号】

2022.03.01

優先順位高め

3月になり、だいぶん暖かくなってきましたね。春と言えば出会いの季節。いろんな舞台に出会うきっかけになればいいなの思いを込めて、今月も「今月の優先順位高めです」どうぞよろしくお願いいたします。

俳優・日高ボブ美の優先順位高め!

先月までは一読者としてこの連載を読んでおりましたが、まさかのご依頼をいただきまして今月からお邪魔させていただきます。
初めまして、日高ボブ美です。
最近ハマっていることは水彩筆ペンで描く絵葉書です。
それでは、私の優先順位高めなお芝居、書き連ねさせてください!!

まずはやはり、東京成人演劇部vol.2「命、ギガ長スW(ダブル)」ですね。このお芝居、初演も勿論観ているのですが、改めて安藤玉恵さんのキュートさとセクシーさに魅せられて、あぁ私もいつかはこんなお芝居できるといいなぁと思い焦がれたものです。今回はギガ組(宮藤官九郎さん×安藤玉恵さん)と、長ス組(三宅弘城さん×ともさかりえさん)の2バージョンあるので、こりゃみなさんどっち観に行くか、はたまた両方観に行くか悩んじゃいますよねぇ。ちなみに私は20代後半まで、「好きな男性の外見のタイプは?」と聞かれたら、迷わず宮藤官九郎さんと答えていました。(この情報の優先順位は極めて低いです。すいません。)
そして昨年の夏、「物語なき、この世界。」でお世話になりました、脚本演出は三浦大輔さんが手掛ける、パルコ・プロデュース「裏切りの街」も外せません。音楽は銀杏BOYZが担当。漂う世界観、とても楽しみです。
ペヤンヌマキさんが脚本、稲葉賀恵さんが演出の「サロメ奇譚」も気になっております。ペヤンヌさんが描く「サロメ」とは!期待しかないです。
最後に最近なにやら面白そうな劇団がたくさん誕生しているなと思っていて、そういう劇団をどんどん観ていきたいと思ってるんです。そこで今月の気になる団体を二つご紹介して終わりますね。
劇団アンパサンド「それどころじゃない」排気口「後ろに近づく淋しさ以外は」。要チェックです!

日高ボブ美
俳優。JO1のメンバーが主演したあだち充原作のドラマ「ショート・プログラム」、私は「なにがなんだか」に出演しております。Amazon Prime Videoにて独占配信開始!
Twitter:@bob000bob

俳優・片桐美穂の優先順位高め!

初めて観た時、1曲目から涙が止まらなかったミュージカル「ラ・カージュ・オ・フォール 籠の中の道化たち」。あの感動は忘れられないので、これはやっぱり観に行きたいです。難しいことは抜きにシンプルに笑って泣けますし、とにかくあの2人の愛に溺れたい…。嫌でも心が疲弊する世の中、観てるときくらいは全部忘れたいものです!
もう1つは、こちらも初演の衝撃が忘れられない作品。そう!東京成人演劇部vol.2「命、ギガ長スW」です。誰がなんと言おうと本が面白すぎるし、キャストが濃すぎるし、面白くない要素が無さすぎる。こちらも最初のシーンがたまらなく好きで、帰ってから真似したほどです。
他にも、パルコ・プロデュース「裏切りの街」も、既に開幕しておりますが「ピアフ」も…もう、なんもかんも観に行きたいです!
寂しいもので、私の「“今月の”優先順位高めです」への参加は最後になります。半年間誠にありがとうございました!

片桐美穂
役者。声が大きくて奔放な「女ジャイアン」的な役回りが得意で、小劇場を中心に活動してます。実際は、店員さんを呼び止められないくらい声が小さくて小心者です。お酒とクラシックバレエがとにかく大好き。次の舞台は8月末に劇団ソラカメの新作公演です!

俳優・田代明の優先順位高め!

まずはやっぱり舞台「千と千尋の神隠し」が気になります。個人的には、菅原小春さんと辻本知彦さんのカオナシが、どんなダンス?身体表現?なのかなと…楽しみです。2月から始まってますが、「ピアフ」も観に行かねばと!大竹しのぶさん、5回目のピアフ主演。私ピアフは見た事がなくて、ただ、紅白で見た大竹さんの「愛の讃歌」がずっと心に残っていて。ポスターのセリフを生で聞くのもとっても楽しみです…!ミュージカル「ブラッド・ブラザーズ」もぜひ見たい作品!生き別れの双子が出会って、別れて、また出会って、時代の波に呑まれて…と、シンプルにストーリーが面白そうだなと!1983年にロンドンで初演されて以来上演され続けている不朽の名作でもあるので、ぜひ観劇しに行きたいです。そして私は3月17日から22日まで、久々の劇団公演「Take Off!!!!」(シアターグリーン BOX in BOX THEATER)に出演します。よろしければご来場ください。3月もエンタメが元気でありますように!!

田代明
女優。秋元康プロデュース「劇団4ドル50セント」劇団員。東京藝術大学声楽科卒業。「お芝居の素敵なミュージカル女優さん」と言われる為に、日々いろんな作品を勉強中。そしてシンプルな観劇オタク。
Twitter:@Akari4_50

演劇ジャーナリスト・徳永京子の優先順位高め!

まずは映画美学校アクターズコース『かもめ』。今回の演出を手掛ける島村和秀は、とにかく印象がよく変わる人で、かつては“稚拙さを凌駕する愛嬌と懸命さ”や“全体のバランスより、気になることをとにかく拡大”が特徴だったのが、2年前ぐらいからは人間の中身への興味が一気に深まった気がする。おそらく、過去の“愛嬌”も“拡大”も捨てずに取り込んでいる彼が演出するチェーホフ『かもめ』は、期待が高まる。
世界劇団『天は蒼く燃えているか』は、オーディエンス賞を受賞したせんがわ劇場演劇コンクールの副賞=劇場での公演がコロナで2年延期され、ようやく開催されるもの。といってもこの作品は、愛媛を拠点に積極的に国内各地で活動する同劇団が、着々と準備を重ねてきた。さらに作・演出の本坊由華子は現役の医師で、コロナ下で演劇をすることの物理的なハードさと医師としての葛藤、さらに妊娠と出産を経験。劇団としてももちろん強くなっているはずで、3年ぶりの成長やいかに。
今月の個人的“ぜひもの”は、デフ・パペットシアター・ひとみ座の『百物語』。江戸漫画家の杉浦日向子が描いた『百物語』は大好きで繰り返し読んでいるのだが、それを人形劇で、しかも構成と演出にモモンガ・コンプレックスの白神ももこを手掛けるというのだから、ニュースを知った時からずっとわくわくしている。あの不思議な、怖くもあり温かくもあり、きっと本当にあったと信じられる長短様々な怪奇譚から何が選ばれ、どんなふうに上演されるのか。春のお楽しみだ。
現在の体制になってから3年目、今年ようやく有観客で実施される(予定の)かながわ短編演劇アワード。高校演劇から選出される「飛翔」枠がやはり見送られたのは寂しいが、1年目の選出団体と被りが多かった昨年から一転、今年は新鮮な顔ぶれが選ばれているのがうれしい(審査員の顔ぶれはほぼ変わらず、私も参加します)。エリア51、エンニュイ、かまどキッチンは観ているが、じゃぷナー観 Japnakan、Mwnoズは初めて。審査に悩むのは苦しいが、がっつり悩みたい。

徳永京子
ひとつの作品についてだらだら考えるのは悪くないと最近は思っていて、上演期間が終わった公演でも感想をつぶやくことに前向きです。
Twitter:@k_tokunaga

ライター・河野桃子の優先順位高め!

人の命を奪う、ということはフィクションのなかで様々に描かれます。時には現実のように、ファンタジーのように、遠い昔の出来事のように。世の中でたくさんの人が亡くなっていく。それでも人間が他者を手にかける物語を描き続けるのは、そこに大事ななにか──生きることや、他者のこと──を見出そうとしているからではないでしょうか。3月は、命を奪うことに関わる3作をご紹介します。

●11日(金)~21日(月・祝)下北沢・シアター711
オフィスコットーネプロデュース『サヨナフ ─ ピストル連続射殺魔ノリオの青春』は、大阪の劇作家・演出家 大竹野正典の没後10年記念公演のひとつとして、死刑囚・永山則夫の死の前日を描きます。ネグレクトと数々の裏切りに合い、19歳で逮捕された永山。オフィスコットーネプロデュースはこれまでも死や性にまつわる作品を取り上げ、演劇でもって現代の手触りで真正面から描いてきました。今回の演出は、松本祐子さん(文学座)。アナザーストーリーとして母・姉それぞれの短編が同時上演されるのも注目です。

●17日(木)→21日(月・祝)六本木・俳優座劇場
演劇集団円『ピローマン』は2021年5月から延期されていましたが、ついに上演が決定。作者のマーティン・マクドナーは『ハングマン』『ビューティ・クイーン・オブ・リーナン』などの舞台のほか、映画『スリー・ビルボード』もヒットし、日本でも人気です。今作は、童話になぞらえた児童連続殺害事件が起き、重要参考人として警察に拘留されていた童話作家の話。空間をえぐろうとしてくる寺十吾さんの演出が、どう働くのか。

●21日(月)~31日(木)池袋・東京芸術劇場シアターイースト
4月9日(土)~10日(日)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
梅田芸術劇場主催『サロメ奇譚(仮)』。「サロメ」といえばオスカー・ワイルドの原作で、預言者ヨカナーンの首を求めた物語が有名です。それを翻案し、ペヤンヌマキさんが脚本を書かれたということで、おそらく“女性”としての在り方、生き方が浮き彫りにされるのではないでしょうか。演出は稲葉賀恵さん(文学座)、設定を現代に置き換えたサロメ役を朝海ひかるさん。様々なイメージで語られるサロメですが、ひとりの女性として見た時に彼女はどう見えるのか。惹かれた相手の首を望むという欲求が、生々しく共感できるものであったらいいなと期待しています。

河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
Twitter:@momo_com

ライター・中川實穗の優先順位高め!

3月、随分前から楽しみにしているのが、『命、ギガ長スW』。松尾スズキさんが、演劇を始めたころの素朴な悦びを求め2019年に始動したという「東京成人演劇部」のvol.2です。vol.1で、松尾スズキさんと安藤玉恵さんがこの作品をやられたのを誕生日に観まして、良い日になりました。今回は[ギガ組]宮藤官九郎さん×安藤玉恵さん、[長ス組]三宅弘城さん×ともさかりえさん。組み合わせだけで胸が高鳴ります。両方を観ずにはいられないので、わたしは同じ日の昼夜で続けて観ることにしました。あーほんと楽しみ。そして、『命、ギガ長ス』とは真逆なタイプの作品で、同じく前回観てまた観たいと思っているのが、ミュージカル『メリー・ポピンズ』。大きな劇場で観る醍醐味が味わえる作品で、メリー・ポピンズが空を飛ぶところとか、楽曲「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」とか、「2ペンスを鳩に」とか、目の前に大きく広がる光景や歌にワッと連れて行かれる感覚が気持ちよかったのを覚えています。あれをまた味わいたい。森新太郎さん演出、佐々木蔵之介さん主演の『冬のライオン』もめちゃめちゃ期待しています。

中川實穗
ライター。日本の戯曲が多めですが、ジャンル問わずに観ます!
Twitter:@miho_sgt

ライター・古内かほの優先順位高め!

3月は注目のミュージカルが目白押しなので、心も体も忙しくなるぞ!と準備運動している感じです。
まず絶対に観ておきたい&観てほしいのは、『ラ・カージュ・オ・フォール 』。鹿賀ジョルジュ&市村ザザという愛らしい最高のカップルを筆頭に、ゲイクラブの踊り子たち“カジェル”の華やかでエネルギッシュなパフォーマンスはもう観なきゃ人生損レベル。この作品でしか味わうことのできない多幸感があるのです!なので、未見の方には強く背中を押したいところ。観終わったあとは、大切な人たちに会いたくなったり、一緒にこの作品を観たい!という気持ちになるはずです。
ラ・カージュに負けず劣らず幸福感を味わえるミュージカルといえば、『メリー・ポピンズ』。4年ぶりとなる待望の再演と新キャストに、今からとてもワクワクしています。劇場で繰り広げられる数々の“魔法”に驚いたり感嘆したり、舞台芸術の持つ力に素直に心が動かされる瞬間がたくさんあるので、観客として初心に戻れるような感覚にも。老若男女問わず、幸せな気持ちで劇場を後にすることができる作品なので、「初めてのミュージカル鑑賞」としてもおすすめです。こちらのメリーたちの対談記事もぜひ!
他にも、日本のオリジナルミュージカルの魅力や可能性を感じられる『手紙』や、魅力的なキャストが集結した『next to normal』、柿澤さんとウエンツさんの共演がたのしみでもある『ブラッド・ブラザーズ』など多種多様な作品が揃っているので、いろんな角度でまたミュージカルのおもしろさを再考できる月間になりそうです。

古内かほ
ライター。観劇の入り口は小劇場から。近年はミュージカルと宝塚歌劇団を中心に観劇しています。今年はダンス公演も積極的に観に行きたいです!
Twitter:@kahonfuumiho_sgt

ローチケ演劇部_白の優先順位高め!

3月の優先順位高い公演は、東京成人演劇部vol.2「命、ギガ長スW」。vol.1の時はローチケは共催として参加し、わたしも1部員として、スズナリで客入れしてました。大阪で物販売ったり、読売文学賞に参加させてもらったり。懐かしいなぁ。今回は2チーム。そして安藤さん以外キャストが変わるので、そこも注目です。
そしてやっぱり気になるのが舞台「千と千尋の神隠し」。あの世界観が生の舞台でどうなるか。湯婆婆の頭がどうなるのかとか釜爺の腕の見せ方とか。気になる要素が多い。無いものをあるように見せるのが演劇の醍醐味だと思うので演劇の可能性を肌で感じたい。
烏丸ストロークロック×五色劇場『新平和』とまだ観れていないマームとジプシー「Light house」の小劇場に。17日~22日の間は、劇団4ドル50セント「Take off!!!!」の現場に入る予定です。2期生加入した最初の公演どんな化学反応が起きるのか、こちらも楽しみです。

ローチケ演劇部_たの優先順位高め!

もう3月!春ですね。なんか目がかゆいのを気のせいにしていましたが、気のせいではないですね(もしかしなくても:花粉症)。
3月、これは!と楽しみにしているのは『命、ギガ長スW』と『ライフ・イン・ザ・シアター』。偶然にも、2本ともふたり芝居です。
『命、ギガ長スW』は、2019年、松尾スズキさん&安藤玉恵さんの公演を経て、今年は宮藤官九郎さん&安藤さんの「ギガ組」と、三宅弘城さん&ともさかりえさんの「長ス組」の2組で上演。三宅さんが仰っているとおり“全然違う“2組だからこそ、同じなのに全然違うものになるんだろうなと、観るのが楽しみです。
『ライフ・イン・ザ・シアター』は、公演が行われることを知って即座に観たい!と思った作品。先日開幕した『カーテンズ』(3/27まで各地で上演中)もそうですが、”舞台の舞台裏を描いている”作品には演劇好きとしてやっぱり心惹かれますし、勝村政信さんと高杉真宙さんがふたり芝居?千葉哲也さんの演出で?どこを切り取っても楽しみなんです。
高杉さんが演劇宣言のインタビューで仰っているように、「わたし」と「あなた」でできているふたり芝居は、Aさんが話したら次は必ずBさんの番。目の前にいるふたりの絶対に落としてはいけないキャッチボールを観ている気分。ふたりしかいないからこそ浮き彫りになる駆け引き、このふたりの会話をいま聞いているのは(客席の)自分だけなんだという緊張感、ひょっとすると見てはいけないものを見ている感じ、すごく好きです。
そして、劇場公演でも収録作品でもないんですが、どうしてもこれを書かせてください。TEAM NACS『LOOSER2022』配信!
演劇部ツイートでも書いたとおり、2004年『LOOSER』は、劇場公演は観ていないけどほかとちょっと違う思い出のある作品で…まさか、18年経って『LOOSER』が映像作品として帰ってくるなんて!!特報動画をもう何度見たことか。ほかの何色でもなく水色のジャージを着たシゲさんが、森崎さんと大泉さんに追いかけられる…何が起こるのかひたすら楽しみでなりません。
TEAM NACSの公演を観たことがない方、映画やドラマでは観たことあるけど…という方、もし舞台も気になったら、ぜひご覧になってみてくださいね!新選組、新選組が立ち向かったもの、そして現代をたった5人で描く、熱い熱い作品です。

ローチケ演劇部_マロの優先順位高め!

2月は『逃げる』とは言ったもので、あっという間に3月です。ベランダ菜園のイチゴが思ったより甘く美味しく、来年は苗を増やしてイチゴ祭りを開催したいマロです。(今年は2つしか収穫できませんでした!)
さて、今月の優先順位高めは、舞台「怖い絵」。鈴木おさむさんの舞台は個人的に初心者でもわかりやすい印象です。絵の世界は全くの無知ですが、絵にまつわる物語や背景が本作品にどのように絡んでくるのか…とても気になる作品です!
続きまして、パルコ・プロデュース『裏切りの街』!『人間とは、生きていくとは』を問う作品のようで興味が湧きます。映画化もされていた作品なので、映画を観てから舞台を観るか、舞台を観てから映画を観るか、非常に悩みます。
Takayuki Suzui Project OOPARTS Vol.6「D-river」(ドライバー)の配信も楽しみです♪劇場では声を出さないように笑いをこらえるのが必至でしたが、配信だと気にせず笑える!1度観た上で配信を観ると、色々とシーンが繋がる部分も増えてきっと違った見え方ができるのだろうなと楽しみでしょうがないです!
最後はオールナイトニッポン55周年記念公演『あの夜を覚えてる』です。ラジオを聞いていたのは小学生の頃なので遥か遠い昔なのですが、『ラジオ』を舞台とする物語がどういうものなのか…想像がつかず、とても気になる作品です。久々にラジオも聞いてみようかな。