実話漂流譚をもとに「気持ちが大きく揺れ動く作品」
明治32年5月、太平洋上で帆船が座礁し無人島に流れ着いた16人の男たち。再び祖国・日本の地を踏むため、彼らは何も無い島で暮らし始める――。実話漂流譚をもとに、大野裕之の脚本・演出で舞台化する本作に、櫻井圭登と校條拳太朗が出演する。
櫻井「振付の良知真次さんとはいつか一緒に仕事がしたいね、と話していたので、もう運命かな、くらいに思っています。内容も今の時代に合っているというか、周りの人の大切さなど、伝えたいことがたくさん詰まっています」
校條「お話をいただいたときに、別のお仕事で無人島を題材にした作品の撮影をしていて、最高の気分でした。サバイバルや自然は好きですが、自然はキレイな半面、怖さもあって表裏一体。無人島ではそれを肌で感じました。学びのある作品になると思います」
無人島に漂着した男たちのうち、櫻井は天涯孤独の心優しい国後を、校條は小笠原諸島出身で鯨漁をしていたアメリカ人を親にもつ範多を演じる。
櫻井「国後は命をかえりみずに仲間を助けようとするようなタイプ。自分にはなかなか無い部分なので、役と一緒に成長したいです。勝手に孤独を感じているところもあって、そこは自分と似ているかも。実際は周りにすごく助けられているんですけどね」
校條「範多はアメリカ人にルーツがある青年ということで、英語なのか?とまず思ったんですが(笑)。合理的なところは自分と似ていますね。まず島からの脱出を考えるところなんかは、よくわかる気がしました。でも、範多みたいにすぐ衝突はしないかな(笑)」
実は今回の取材で初対面だったという2人。稽古場への期待やお互いの印象を口にする。
櫻井「初めての方が多いので、早くお話ししたいですね。でも、めっちゃ人見知りなので時間がかかるとは思うんですけど…どちらかと言うと、グイグイ来てくれるほうが嬉しい(笑)。校條さんは少しお話しただけでも頼りがいがあるので、自分もしっかりしなければと責任感が湧いてきました」
校條「人見知りの空気はすごく伝わってきます(笑)。でも、もう知り合いなので稽古場ではグイグイいけますね。僕も久々の方や初めての方も多いので、一緒にお芝居するのが楽しみ。無人島ということで、セットなども含めどういう表現になるのか、そこも純粋に楽しみです」
極限状態を描くヒューマンドラマとしての側面もある本作。稽古を前に、2人は気合十分で意気込みを見せる。
校條「無人島での脱出劇で、それぞれがもがく様子が描かれていきます。それは今の世の中の状況にも通じると思っていて…出口も見えず、答えもない中で、団結して脱出というゴールに向かうというところが非常に大切な部分だと感じています。ご覧いただいた方も、観て感じてくださったことを大切にしてくださったら嬉しいです」
櫻井「長年愛されてきた読み物の舞台化ということで、その長い歴史の1ページを刻めることは光栄なこと。たくさんの勇気をもらえるので、観てくださる方には、思いっきり泣いて笑って、思いっきり考えてほしいです。僕自身も全力で感情を揺さぶられつつ、気持ちを大きく揺れ動かせるような作品にしていきます!」
インタビュー・文/宮崎新之
※構成/月刊ローチケ編集部 4月15日号より転載
掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布
【プロフィール】
サクライ ケイト(左)
■ʼ93年生まれ。数多くの2.5次元作品に出演。近作は『ワールドトリガー the stage』『 演劇調異譚「xxxHOLiC」』など。
メンジョウ ケンタロウ(右)
■ʼ90年生まれ。舞台を中心に活躍中。近作は舞台「ぼくらの七日間戦争」、舞台「WORLD ~Change The Sky~」など。