『大逆転!大江戸桜誉賑(おおえどかーにばる)』│松平健&檀れい 合同取材会レポート

2023.01.18

創業150周年の節目を迎える明治座の前月祭となる公演で、松平健、コロッケ、久本雅美、檀れいという個性豊かな4人が共演することになった。『大逆転!大江戸桜誉賑(おおえどかーにばる)』と題し、お江戸の町で笑いあり、涙あり、何でもありの大騒ぎを繰り広げていく。脚本、演出を担うのは、コントユニット「男子はだまってなさいよ!」を主宰する細川徹。果たしてどのような舞台になるのか、一国一城の殿様夫婦を演じる松平健と檀れいの2人に話を聞いた。

――まずは、今回のご出演にあたり意気込みをお聞かせください

松平 やはり明治座創業150周年の前月祭ということで、記念すべき時に呼んでいただけたことを嬉しく思います。ご一緒するみなさんも、それぞれに座長をされているような方々なので、きっといいお芝居ができるんじゃないかと想像しています。今からワクワクしていますね。以前に共演させていただいたときもすごく楽しかったですし、お客様にも喜んでいただけるようにやっていきたいと思っています。

檀 明治座さんでは以前から何度も出演させていただいていますが、この150周年という記念すべき時に舞台に立たせていただけることが、本当に喜びしかありません。松平さんとは、以前に明治座でご一緒させていただきまして、今回お久しぶりにまたお芝居できることが本当に嬉しいです。それに、コロッケさんや久本雅美さんとお芝居できるのもとても楽しみですね。先ほど少しお会いしたのですが、すでに笑いが止まらなくて、とても楽しいんです。コロナ禍でなかなか舞台を楽しむことができなかったという方も、久しぶりに笑っていただきたいですね。

――『大逆転!大江戸桜誉賑(おおえどかーにばる)』とタイトルからも賑々しさが伝わってくるようですが、どのようなお話になっているんでしょうか。健さんがお殿様で檀さんが奥方、コロッケさんと久本さんが貧乏長屋の傘屋夫婦という役どころだそうですね

松平 私と檀さんは夫婦役でいわゆる王道なお芝居になると思うんですけれども、そんな2人とコロッケさん、久本さんが演じる面白い夫婦と入れ替わってしまったら、どんなことになるんだろうか――というような感じで、私自身もすごく楽しみにしているんですよ。入れ替わったことでモノマネをすることになるかもしれないんですが、そこはコロッケさんを研究したいと思いますね。お殿様という役どころは、これまでもやってきたので問題ないと思うんですけど、コロッケさんの傘屋と入れ替わってどうなるのか…。いろいろ作っていきたいと思います。

檀 この4人がどう絡むのか…プロットを拝見しながら、大笑いしてしまいました。考えた細川さんは天才じゃないかと思いますね。それぞれの良いところを生かしつつ、ちゃんと4人でまとめているんです。そこが本当に素晴らしくて、板の上に立った時にさらにパワーアップするんだろうなと期待してしまうようなストーリーになっています。私の役はただのおしとやかな奥方というわけではなくて…キリっとした私もお見せしたいと思います。今回、本当にとっても楽しいものになると思っているんですよ。コロッケさんのモノマネだったり、久本さんのコミカルなお芝居だったりで、わっと盛り上がってくれるはず。そうなったときに、お話をうまく本筋に戻すのが私の役割かな、と思っているので、お客様の笑いを受け取りつつ、上手に戻していきたいと思います。

――明治座150周年ということですが、それぞれの明治座での思い出をお聞かせください

松平 私は現在の建物に建て替えられる前に師匠の勝新太郎先生の舞台で初めて出させていただきました。いろいろ失敗もありましたし、本当に長い間、明治座さんにはお世話になっています。本当に歴史がありますので、こうやって節目で立たせていただけるのは本当に誇りです。

 初めて明治座さんの舞台に立たせていただいた時、自分の名前の入った大きなのぼりが劇場の横に立っているのを見て、本当に嬉しかったのを覚えています。初日のワクワクと、私は明治座でお芝居ができるんだという喜びは忘れられないですね。明治座さんは、お芝居だけじゃなくお食事や休憩時間も楽しんでください、という雰囲気で。そのような空間で皆さんが満足されていて――それが常なんですよね。そういう場所に立たせていただけるのは、何よりの喜びです。

――やはり健さんと言えば、“オレ!”と叫びたくなるようなあの名曲で、みんなで揃って歌い踊るシーンを楽しみにしてしまいます。今回の明治座ではどのようにショーアップされるのでしょうか?

松平 そうですね、どういうふうに成り立っていくのかはまだこれからなんですが、どんなことがあっても最後はあのリズムでやりたいと思っています。

――今回は、コミカルな要素がたっぷりと詰まったものになると思いますが、日ごろ周囲を笑わせたりするようなことはありますか?

松平 笑わせるようなのはちょっと無いんですけど、師匠の歌を歌たりすることはありますね。だんだん年を重ねてきて、声もそんな感じになってきているのかもしれないです。でもまぁ、みなさん笑わないですけど(笑)。やっぱり、コロッケさんを見習わないとですね。

 どうでしょうか…特に今回はみなさんを見ていたら私も楽しくなってしまって、私も何かやったほうがいいのかな、なんて思っちゃうかもしれないですね。でも喜劇って一番難しいですよね。

――宝塚歌劇では、余興をすごく頑張る伝統があったかと思います。そこでみんなを笑わせるような面白い出し物をされたりするとお聞きしましたが、檀さんの期はいかがでしたか?

 そうですね、余興はみんな命がけでやっていました。私たちも命がけでやりましたが…私たちの期はそこまで余興が得意ではなかったのではないでしょうか。ものすごく頑張ったんですけど、スベってしまう…みたいな(笑)。下級生の頃の公演では、すごくインパクトのある役どころが多かったんですよ。でも、そこは今回のお芝居にはあんまり活かされないかもしれません。

――健さんも若いころ、宴席なので先輩などを楽しませるような余興をされたりはしていましたか?

松平 若いころは宴会をしてみんなでワイワイ、みたいなこともありましたね。歌謡曲や演歌を歌って、踊ったりしていたように思います。そのころ、当て振りなども流行っていて、そういう遊びもよくしていました。

――そういう流れから、賑やかな歌で華やかに踊る、健さんの今のスタイルに繋がっているのかもしれないですね。今回の舞台のラストを飾るカーニバルのような時間が待ち遠しいです

松平 そうですね。とにかく楽しい時間になればと思います。最近は海外にも行けていなくて、衣装の生地も仕入れに行けていないんですよ。歌衣装とかの生地は、自分で買ってくるんです。海外のお店で、毎年、新しい生地が出ているんですけど、その店で一番派手な生地を買ってきます(笑)。でも基本的には、本当に観てくださる方を楽しませたい。そのためにはやるほうも楽しくないと、と思っていますね。

――どんなに楽しい舞台になるか、期待しています!最後に、公演を楽しみにしている方々にメッセージをお願いします

 明治座150周年。私たちもこの記念すべき公演を大いに楽しみ、また、お客様にも大いに笑っていただきたいと思っています。もう、このメンバーを見ただけでも「どうなっちゃうんだろう、何が出てくるんだろう?」とワクワク感がありますよね。私自身も楽しみにしています。ここ数年の憂うつな気持ちを、みなさまには大きな笑顔で吹き飛ばしていただきと思います!

松平 今回、このメンバーでやりますので、大変楽しくなると思います。明るい気持ちになっていただけるかと思いますので、ぜひ楽しみにしていただきたいと思います。

取材・文/宮崎新之