舞台『Bumblebee7』│須田亜香里×関根優那 インタビュー

須田亜香里がSKE48卒業後、初となる主演舞台『Bumblebee7』が、3月17日(金)より上演される。近未来の日本で、特殊能力を持った7人の女性たちが激しいバトルを繰り広げていくというストーリーで、脚本を手掛けるのは川尻恵太、演出は葛木 英が務める。共演キャストには、関根優那、知念紗耶、MARISA、奥村優希(×純文学少女歌劇団)、相沢菜々子、椿 果が名を連ねた。セクシーかつ、アクションあり、コメディありの盛りだくさんな魅力あふれる本作に、彼女らはどのように挑むのだろうか。須田と関根の2人に話を聞いた。

――須田さんは今回の舞台に出演することが決まって、どのようなお気持ちになりましたか?

須田 舞台に出るのは4年ぶりくらいだし、主演をさせていただくのも8年ぶりくらい。そもそも、お芝居には少し苦手意識があるんです。でもお話を頂いたときに、自分にできる勇気はなかったけど、アイドルを卒業した今だからこそ、自分ができないと思っていることや苦手だと感じていることから逃げるのは違うな、って思って、やってみることで自分が変われるような気がしたんです。ずっと応援してくれているファンの方にも伝えられること、伝わることがあるんじゃないかと思いました。自分の中に明確な答えがあったわけじゃないけど、走り出したって感じです。

――SKE48を卒業されて、何かお気持ちに変化があったのでしょうか?

須田 アイドルを卒業してから、すごく考え方が変わったんですよ。生きることに対しての気持ちが変わりました。大人になったんでしょうね(笑)。自分がダメだと追い込んでしまったり、気を落としてしまったりすることも多かったんですけど、いろいろな人にアドバイスを頂いた結果、変わることができました。特に以前、映画で共演させていただいた萩原聖人さんの「稽古場は答えを見つけに行く場所。だから答えをもっていかなくてもいいんだよ」という言葉は、すごく印象的でした。そういう、いろいろな方からの言葉があって、前向きに稽古に挑めるようになって、毎回発見があったりして、すごく今は楽しいです。分からないことを悲しいことだと思わなくなったのが、以前との大きな変化だと感じています。

――関根さんは本作への出演が決まった時、どんなお気持ちでしたか?

関根 あかりんが主演だということは事前に知っていたので、まずは「あかりんに会える!」っていう楽しみが大きかったです。役どころもまだわかってなくて、セクシーだったりクールだったりする女の子たちがバチバチに戦っていくお話だとは聞いていました。でも、どんな形でやっていくのかは想像できていなかったですね。台本をいただいて役柄とかがわかってきたときは衝撃でした。今までは今回のようなカッコいい役が回ってくることがあまりなかったですし、私は背が小さくて、小柄な女の子チックな役をくださることが多かったので、今回もそういう感じじゃないかな?と勝手に思っていたんです。私にできるの?というプレッシャーはあります。でも、カッコいい役には挑戦したかったし、嬉しさもありますね。最強のキャラクターで、内心は不安が大きかったんですけど、そこは自分との闘いですね。衣装を着たりして姿が見えてくると、だんだんワクワクが大きくなってきました。

須田 顔合わせの時も、最強っていう役柄にビビッてます、って話していたもんね。

関根 マイナスなことはあまり言いたくないんですけど、あの時はさすがに不安すぎて、みんなにも素直な気持ちを伝えて、助けていただこうと思ってました(笑)。

――ストーリーの部分では、どんなところに魅力があると思いますか?

須田 まずは、女の子たちの個性がみんなバラバラなことが面白いですよね。見た目もそうだし、性格のタイプもいろいろ。好きなタイプって人それぞれだと思うんですけど、きっと見に来てくださる方も1人は“この子がタイプ!”っていう子を見つけられるんじゃないかな。好みが分かれそうな気がしていて、そういうところが面白いと思っています。キャラクターの出し方も、それぞれに個性が立つように演出をつけてくれているので、どうやったら個性が出るのかを私たちもすごく模索しています。だから、自分だけじゃなくて、どのキャラクターも愛おしい。フリフリな可愛さだからとかじゃなくて、ドシンとしているお芝居の中にもキュンとできるポイントがあるというか。そういう可愛さをぜひ見ていただきたいですね。あと、殺し屋が戦うアクションって聞いて、怖い舞台じゃないかと思っているかもしれませんが、メチャクチャコメディです!

関根 日常会話みたいな部分が結構あるんですが、でも非日常なんですよね。やっていることが普通じゃない、違和感がすごくあると思います。日常のようにやっていくんですけどちょっと違和感があって、それが積み重なって最終的に…という感じで展開していって、みんなが戦い合っていくので、そこが見どころだと思います。戦いに関しても、要所要所で出てくるんですけど、みんなそれぞれに持っている武器が違ったり、戦い方も違うので飽きないと思います。女の子たちが全力で戦う姿ってあんまり見られない姿だと思うので、きっと気持ちも上がってくるんじゃないかと思いますし、爽快に感じていただけるんじゃないかな。

――それぞれの役どころについて聞かせてください

須田 私の役の出雲は、自分のことをウチって呼んでいて、ちょっとサバサバしているキャラクター。愛情表現にツンデレ感もあって勝気な感じですね。

関根 出雲は全男子が好きな感じだよね。

須田 それはプレッシャーだからやめて(笑)。でも、目指してます!片足は生足、片足は網タイツで、ベルトをいっぱい巻いているんですけど、稽古が始まったらホルスターも追加されて、これホルスターだったんだ!って思いました。見た目にもどんどん強さが上乗せされていってます。今回、参考として映画の「チャーリーズ・エンジェル」をみんなで見たんですけど、あんな感じにカッコよくて、強くて、セクシーなものを目指しています。頭を振って髪を揺らす感じを私も出したくて、めっちゃ頭振ってます(笑)。

関根 私の役・京極の場合は、お芝居中になるべく動きを少なく、スタイリッシュに見せられるよう意識しています。私は戦う時にいろいろな武器を使うんですけど、その武器の性能を100%出せているように見せないといけないので、銃を使っているような海外ドラマをずっと見ています。1つ1つの動きを少なくしつつもカッコよく、最強に見えるか、というのを必死にやっていますね。みんなより強く見せたいので、全力でやりたくなるんです。銃や刀を奮うときにも、全然余裕あるから、という感じにしなきゃいけないので、すごく意識していますね。

須田 意識してるの、すごくわかる。体の動きや言葉にすごく存在感と説得力があるんですよ。

関根 やっぱり目指している姿が、さっきあかりんが言っていた「チャーリーズ・エンジェル」みたいなもの。だけど、この作品の世界観は、まったく新しい世界のお話でもあるので、そこを皆さんに理解していただくためにも、自分たちが一番理解していなきゃいけない。その共通認識を稽古の初日からみんなで話し合いました。

須田 そういう部分を、各自でやっておいて、ではなくて、みんなでできるんですよ。だから、日々すごく楽しいです。

関根 あかりんは所作がすごくきれいで、ポールダンスとかは体の柔らかさが存分に生かされています。凄すぎてずっと見ていたし、いつも本当に感動しています。それにはやっぱり努力が必要だし、稽古場の空気感は座長で決まると私は思っているので、この“みんなで一緒に頑張ろう”っていう空気感はあかりんが作ってくれていますね。役への向き合い方がストイックで、そういう姿を私たちも感じるので一緒に頑張ろうと思えます。

――須田さんは今回、劇中でポールダンスも披露されるんですね

須田 稽古場にもポールを設置してもらえて、すごくありがたい環境ですね。出雲はポールダンサーで殺し屋、という設定はざっくりと発表されているんですけど、ファンの中には“ワイヤーで吊るの?”とか言って信じてくれない人もいて(笑)。でもガチでポールダンスをやるので、ちゃんと練習画像を載せようと思って、最近はSNSに投稿しています。ずっとやってみたいなと思っていて、練習を始めたのは今年の初めから。もともとクラシックバレエをやっていたし、SKE48でもダンスをやっていたけど、こんなに難しいのかと思いました。割と身体能力は高い方だと思っていたんですけど、まだまだ自分にはできないこと、自分の体を生かし切っていないことがあると実感しますね。自分の可能性を狭くしていたように感じています。

――ポールダンスの魅力をどのように感じていますか?

須田 見た目以上に大変ですけど、その大変さが伝わらないように、いかに不思議な空間に魅せるか、というところは面白いですね。無重力な感じとか、片足だけでポールにつかまっていて、なぜかくっついているように見えるトリックとかもあるんです。どうやってこの人は宙に浮いているの?って思うような動きがすごく多いんですよね。ポールダンスってセクシーなイメージがある人が多いと思うんですけど、それ以上に異次元な感じが出せるのが楽しいです。衣装はすごくセクシーなので、そこはドキドキしてもらいたいな。

関根 私は、ドキドキしちゃってます(笑)。

――アクションについてはいかがですか?

須田 アクションも難しいですけど、楽しいです。ダンスを覚えるのとも、また違うんですよね。ダンスでも順番に覚えて動いて、ってやっていたんですけど、アクションは動くにも理由が必要。撃たれたとしたら、そこに反応しなきゃいけないし、その場その場で覚えたからできるというものでもないんですよ。覚えたうえで、反応をリアルに表現しなきゃいけない。殴りかかったとしても、本当に当たってはいけないし。すごく緻密な計算だけど、それを一瞬の間に自分の体でどう表現するのかなんですよね。それは自分1人でできるものじゃなくて、チームワークもあるし、呼吸感もある。私たちの動きに合わせて音響さんが音を出すので、音響さんにもタイミングがわかるようにしなきゃいけない。本当に、一挙手一投足の責任が自分だけじゃないので、責任感がすごいです。本当にチームプレイですね。もう、頭がパンクしています。

関根 私は体がすぐに反応するタイプじゃないから、先ほども言ったように、いかに最強に見せるかをとても意識しています。刀の殺陣は以前にやったことがあったんですけど、それでも難しくて。楽しいんですけど、楽しくなるまでの過程では、思い通りにいかないこともたくさんあります。舞台上は限られた空間ですが、その幅の中で7人で戦う場面もあるので、いかに狭く見せないように体を使っていくかは、超細かい作業過ぎて大変。もっともっと練習しなきゃと思います。私は、ショットガンだったり、マシンガンだったり、聞いたこともないような武器だったりを、次から次へと捨てて持って捨てて持って…と戦っていくので、見る側からしたらとても楽しいはず。世界観を壊さないように、頑張ります!

――ほかのキャストの皆さんとの関係性はいかがですか?

須田 めちゃくちゃ仲良しですよ!私は学校も女子高だったし、SKE48も女の子のグループなので、ずっと女の子ばかりの環境で生きてきました。その経験からすると…女の子が集まるって、結構大変なイメージなんですよ(笑)。いろんな子がいるし、それがいいことなんですけど、個性も能力もバラバラですから。でも、みんなそれぞれに今までの努力があって、それぞれのスキルをもって今回のステージに集まってます。やっぱり、努力して何かを極めている子たちが集まると、パワーをもらえるんですよ。ただ仲がいいだけじゃなくて、刺激的で楽しい。そして、尊敬し合える仲なのが本当に幸せですね。

関根 みんなが作品のために全力で頑張るっていう想い、その意識が一緒だからこそ、この現場の空気ができていると思います。きっと、見てくださる方にもそこは伝わるんじゃないかな。みんなの気持ちがある、自分が1人じゃないと思えることが、今頑張れている理由のひとつですね。

――今回出てくる女の子たちは、何かしらの特殊能力を持っています。もし、自分に特殊能力が備わるとしたら、どんな力がいいですか?

須田 なんだろう、悩みになっちゃうかも。…食べても太らない、もしくは好きな体型に自在にできる能力!もう、衣装に合わせて、自分の理想の体にできちゃうの。今回の舞台は、本当にカロリーが必要な舞台なんですよ。今日も殺陣が大変な日だから、差し入れでクリームパンを持ってきましたけど、太りすぎても良くないし。演出の葛木さんも、ちゃんと食べなさいって言うんですね。休憩時間も、最初に決めた時間だと食べられないから、ちょっと休憩を長くしよう、とかになるんですよ。それくらい体力消耗には気遣ってくださっています。ただ、今回の衣装はボディラインがすごく出るので、体力と体型のバランスが難しいですね。

関根 私は瞬間移動!もうすっごく面倒くさがりだし、少しでも寝ていたいんです(笑)。瞬間移動ができるなら、もっと寝れますよね。でも、食べることも大好きなんです。稽古終わりのご飯は、やっぱり焼肉が食べたくなる(笑)。とはいえいっぱい食べちゃうと、体が重くなっちゃったりもするので、あんまりよくないんですけどね。

須田 私は、睡眠よりも食事かも。今朝も稽古場に来るまでに、以前から目をつけていたお蕎麦屋さんで朝ご飯を食べてきました。かき揚げが乗った天玉そばで、めちゃくちゃおいしかったです!行ってみたいお店はたくさんブックマークしてます。

――スタミナが必要なお芝居ですもんね。最後に、今回のお芝居を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします!

関根 今回は女子7人だけで、カッコいい女子たち、そして戦う女子たちが存分に見られる作品になっています。歌もダンスも、アクションもたくさんありますが、1人1人の個性が交じり合ったとき、この非日常をどう感じていただけるか、すごく楽しみにしています。約2時間という時間の中で、笑いとハラハラドキドキを感じていただける、とても素敵な時間をお届けできると思っているので、ぜひ生でしか感じられない女子の迫力を、劇場で体感していただきたいです!

須田 私が子供のころ「チャーリーズ・エンジェル」を観たときに、自分も強くなれた気分になれました。その感覚は今も忘れられません。アクションをやってみたいという気持ちも、ずっと思っていたことなので、子どもの時に感じたあのワクワクを、自分も与えられる人になれたら…そういう希望をもっていた中での今回のご縁なので、ぜひたくさんの方にご覧いただきたいです。そして、足取りも心も軽くなって、楽しかったな、明日も頑張ろうと思える時間をお届けしたいです。よろしくお願いします!

取材・文/宮崎新之
撮影/篠塚 ようこ