☆絶賛上演中☆4月1日に開幕した舞台『ブレイキング・ザ・コード』│演出家・ 稲葉賀恵と主演の亀田佳明から初日コメントと舞台写真到着!

2023.04.03

撮影:杉能信介

4月1日(土)東京・シアタートラムにて開幕した、稲葉賀恵演出『ブレイキング・ザ・コード』。イギリスの数学者で、第二次世界大戦中にコンピューターを発明しナチスの暗号「エニグマ」を解読した実在の男性・アラン・チューリング。彼はイギリスの英雄であり、そして同性愛者だった。当時同性愛が犯罪だったイギリス。この世界の在りようを大きく変えたはずの彼は、なぜ41歳という若さで悲運な死を遂げなければならなかったのか。不器用にしか人と関われない彼が、本当に求めていたものは名誉か、愛か、はたまた。わずか70年前、人が人を愛する自由を許されなかった実在の英雄の物語を、日本で33年ぶりに上演した作品だ。

アラン・チューリング役には、『ガラスの動物園』『タージマハルの衛兵』で狂気と繊細さを表現し、紀伊國屋演劇賞を受賞し、演劇界になくてはならない存在の亀田佳明が務め、チューリングと関係を持つロン・ミラー役には水田航生。チューリングの同僚パット役に岡本 玲。チューリングを暗号解読に引き抜いた、ノックス役に加藤敬二。チューリングの初恋相手、クリストファー役には田中 亨。上層階級の官僚ジョン・スミス役を中村まこと。チューリングの母、サラ・チューリングには保坂知寿。強盗事件の捜査に訪れる刑事ミック・ロス役は堀部圭亮と、実力を兼ね備えた俳優陣が集結!

その初日開幕に先駆けて行われた公開ゲネプロの舞台写真と、演出家・ 稲葉賀恵と主演の亀田佳明から初日コメントが到着した。

初日コメント

稲葉賀恵(演出)
この物語は数学理論を真ん中に置いてはおりますが、極めて私たちの近く、隣にいる人間たちのすれ違いやぶつかり、そして愛憎や悲哀を描いています。
約1ヶ月強、8人の尊敬する魅力的な俳優陣と、すぐそこに、近所にいるような親近感と愛くるしさを持った登場人物を作り上げるべく、コツコツ丁寧にお稽古してきました。
そして、信頼すべきスタッフプランナー陣と、チューリングの脳内を舞台上に出現すべく、時に子供のようにきゃっきゃ言いながら趣向を凝らして参りました。
何だかとても奇妙で、でもとても愛すべき世界になった気がいたします。

きっと観ていただけたら、チューリングをはじめとする歴史の中にいる登場人物が、年号から抜け出してすぐそこで手を差し出して話しかけてくるような、そんな感覚を覚えて頂けると思います。

トラムという宇宙のような空間で天体のように近づいては離れる人間たちの模様を一緒に浮遊しながら旅してみてください。劇場でお待ちしております。

亀田佳明(アラン・チューリング 役)

本日はご来場頂きましたお客様に心より感謝を申し上げます。
稲葉賀恵さんの粘り強く丁寧な演出にスタッフキャストも一丸となり明るく闊達な稽古場でした。
劇中アラン・チューリングは常に舞台上にいながら、他の人物の登場によって時空が飛んでいきます。
堀部圭亮さん演じるロスの絶妙にグレーな人間味。
田中亨さん演じるクリスの清廉さとニコスの無邪気さ。
保坂知寿さん演じるサラの失望の先に見せる深い愛情。
水田航生さん演じるロンの秘められた痛みと滲む葛藤。
中村まことさん演じるスミスの特異な難攻不落。
加藤敬二さん演じるノックスの温かさの中にある哀しみ。
岡本玲さん演じるパットの夾雑物のない眼差しで生きようとする意志。(登場順)
次々に登場してくる共演者の方達と稽古を重ねていくうちに、自分は登場人物達の記憶の中の存在であり、その人物たちの記憶により再生されている存在のような不思議を感じました。
「心とは何か」「身体がなくても心は存在するのか」
チューリングは学術でこの問いを追究し続けました。
私にとっても心の問いは向き合い続けるテーマでもあります。

日々お客様と発見を重ねながら千秋楽を迎えたいと思います。
座組一同、心を込めて創った作品です。
1人でも多くの方に観ていただけたらと願っております。

以下、舞台写真より
撮影:杉能信介