紀伊國屋ホール開場60周年記念特別公演『フォーティンブラス』|佐々木大光・鈴木悠仁 インタビュー

本作は、シェイクスピアの『ハムレット』に2回だけ登場するノルウェーの王子・フォーティンブラスにスポットを当て、横内謙介が1990年に書き下ろした戯曲だ。善人会議(現 扉座)での初演以来、1995年に草なぎ剛と井ノ原快彦、2001年に高橋一生、2003年に長野博と村上信五、2021年に戸塚祥太と内博貴と、繰り返し上演されてきた。
2024年3月1日(金)からは、佐々木大光と鈴木悠仁の共演で上演される。ストレートプレイの経験は少ないという二人に、意気込みや役に対する思いを聞いた。

――この作品のお話を聞いた時の思いを教えてください。

鈴木 作品について調べたらたくさんの先輩方が出演していてプレッシャーを感じました。映画をよく見るんですが、舞台裏を描いた物語は結構好きなので、内容を知って楽しそうだなと思いましたね。

佐々木 お話をいただいてから2週間程度で情報解禁、さらに3月に本番。『Act ONE』の本番が終わったらすぐに稽古でしょうから、急ピッチだなと思いました。今まで草彅くんや井ノ原くん、長野くん、村上くん、戸塚くんに内くんと、たくさんの先輩がやってきた作品を受け継ぐのは、この事務所らしくて良いなと感じています。プレッシャーもありますが、先輩たちがやってきたものを超えたいし、この作品を自分たちの世代にも広められたらと思っています。

佐々木 僕はストレートのお芝居がほぼ初めて。シェイクスピアにも今まで触れて来ませんでしたし、セリフが多いお芝居の経験も少ないので楽しみです。

鈴木 僕も、初めての舞台がミュージカルだったので、ストレートのお芝居でがっつり演技に向き合えるのが楽しみです。

――新たな作品に挑戦するときに気になるのはどこですか?

鈴木 まずは物語です。

佐々木 僕はミュージカルかストレートか。もちろん共演者も気になります。今回は悠仁と聞いて「マジか」と思いました。懐いてくれている後輩なのでやりやすさもありつつ、稽古場では自分のことに集中したいから構えないなって。

鈴木 愛情の裏返しですよね。

佐々木 フリじゃないから(笑)。

――共演についてはいかがでしょう。

鈴木 いつも見ている先輩なので、安心感がすごいです。僕の初めての外部舞台がミュージカルだったので、今回ストレートと聞いて大丈夫かな?と思いました。演技がすごく得意というわけでもないし。でも映画はよく見るので頑張りたいなと思います。

佐々木 悠仁は歌が得意だから、ミュージカルかと思っていました。今回はストレートだったので、どうなるのかというワクワクはあります。

――脚本を読んだ印象、演じる役について教えてください。

佐々木 セリフが多い!

一同 (笑)。

佐々木 この作品では主人公だけど、脇役を演じる俳優という設定なんですよね。なのに、(前回同役を演じた)戸塚くんがずっと喋っているので「マジか」と思いました。1月の舞台本番が始まったら一気にセリフを入れようと思っています。

鈴木 結構ドロドロした人間ドラマで、見るのは好きですが、自分が演じるのはどんな感じなんだろうと。シチュエーションとしては好きなタイプの作品なので楽しみです。

佐々木 僕はシェイクスピアの『ハムレット』に登場する脇役・フォーティンブラスを演じる役者です。「俺たちの名前も紹介してくれよ」っていうくらいの立場なので、脇役感を出せたら良いなって思います。

鈴木 僕が演じるのはオズリックという役をもらった岸川和馬という若手俳優。真面目な役者さんです。僕は真面目じゃないので、真面目な人間になれるように頑張ります。

――作中では傲慢なスターや役にのめり込む人、真面目な人など、色々な役者が登場しますが、お二人はどんなタイプの役者でしょう。

佐々木 どうだろう?逆に、側からはどう見えているのか教えてほしいです。

鈴木 演出家さんによって一語一句そのまま演じてと言われることもあるし、変えていいこともあります。僕は最初、自分が覚えやすい言い回しでセリフを入れていくタイプ。内容を覚えてから役に寄せていく感じです。

佐々木 あまり気にしたことはなかったけど、僕も自分なりに考えて作っているかも。自分の中でプランを作ってみてから、演出を受けて修正していくタイプかもしれません。

――登場人物たちが何度も「演劇の神様」に言及しますが、ご自身は、ライブや舞台で「今のは神がかっていた」と思ったことはありますか?

鈴木 少年忍者の中で楽器ができる人を集めてパフォーマンスをした時、落ちサビで公衆電話を使ったんですが、あれはいいなって。

佐々木 どういうこと(笑)?

鈴木 演出を思いついた時は「良いかも」くらいの感じだったんですが、後で映像を見たらすごく絵になっていました。

佐々木 曲の中で電話を取って歌う演出を自分で考えて、思いのほか良かったってことね?

鈴木 そうです!

佐々木 僕ら(7MEN侍)はバンドをやるので、その場で楽曲をアレンジすることも多いんです。僕のアレンジにメンバーが合わせてくれたり、逆に誰かのアレンジにみんなが乗ったり、アドリブがカチッとハマった時は良いなと思いますね。

――楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。

佐々木 僕を応援してくださっているファンの方は、今までとは全く違う、初めての体験ができると思います。同時に、この作品が好きな方にも「今回はいまいちだな」と思われないように、自分の最大限の力で挑みます。ぜひ劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです。

鈴木 自分の演技をストレートのお芝居で見せるのは初めてなので、ファンの方にじっくり演技を見ていただけたら嬉しいです。物語としても楽しい作品なので、とにかく楽しんでほしいです。ぜひ来てください。

※草なぎ剛の「なぎ」は、弓へんに「剪」が正式表記

インタビュー&文/吉田 沙奈