“今月の”優先順位高めです【2024年3月号】

2024.03.01

3月になりました。まだあまり暖かくはなっておりませんが3月といえば春です。春と言えば出会いの季節。新たな舞台に出会えますように、今月の「優先順位高めです」です。今月よりエトエ滑川さんご参加です。よろしくどうぞ。

脚本家/演出家/俳優・滑川喬樹の優先順位高め!

初めまして。今回から参加させて頂きます「エトエ」というコントユニットを主宰しております滑川(なめかわ)と申します。コントを作っているのに名前に滑るが入っています。武蔵野市民です。ナンセンスコメディーなどが好きなので、選ぶものが笑いに偏ってしまいいがちですが誰かの観劇体験の参考になれば嬉しいです。若輩者ですがどうぞよろしくお願いいたします。

東京にこにこちゃん「ネバーエンディング・コミックス」
2月28日(水)から始まるので2月のおすすめじゃんっていう声も聞こえてきそうですが3月3日(土)までやってます。ずっと観たい観たいと思いながらまだ劇場では拝見したことがないので(すみません)絶対観たいと思ってます。先日配信されたテアトロコントの映像がとっても面白かったのでとても楽しみにしている公演。

破壊ありがとう単独ライブ「洒落臭い」
テアトロコントで存在を知って動画を検索したら面白かったのでこちらも気になっている3人組のユニット。初の単独公演でチケット完売のため公演日を増やしたとのこと。羨ましい限りです。期待大。

回答者-赤坂7−2−21の集会-
「大喜利で物語が説かれていくライブ」らしいのですが読んだだけでは何だかよくわからない公演。テニスコートの神谷圭介さんが演出するということ以外あまり情報が出てこないのですがそれだけで十分面白そうです。

夜明吐息公演 vol.1『ワニ随ににまにま』
ワワフラミンゴのファンなのでこちらも外せないかなと思っています。鳥山フキさん以外にも、ナンセン劇団の武蔵野ハンバーグの高橋一八さんや、中野坂上デーモンズの松森モヘーさんの名もありどんなものが見れるのか楽しみにしています。

「りんりんふぇす山谷」
路上生活者が生活を立て直すための仕事の一つである雑誌「ビッグイシュー」を応援する音楽イベントとして始まった「りんりんふぇす」の14回目。ミュージシャンの寺尾紗穂さん、路上生活経験者で構成されたダンスグループ「新人Hソケリッサ!」などが出演するフリーコンサート。3月3日(土)に山谷で行われます。ご興味ある方は是非検索してみてください。

4月にはエトエの公演がありますのでどうぞ気にかけてやってください!
何卒よろしくお願いいたします!

滑川喬樹
脚本家・演出家・役者。
自称武蔵野市代表コントユニット「エトエ」主宰。
次回公演:「もうグレイテスト・ヒッツ!」@武蔵野芸能小劇場
X(旧:Twitter):@nametakaki
エトエ公式HP: https://etoe.amebaownd.com/

俳優・佐久間麻由の優先順位高め!

1月から参加して、早くも3度目の『優先順位高めです』です!おすすめした作品を実際に観に行き、それが面白かったときのうれしさは今までに味わったことがなく…。とても大切な心の経験をさせていただいてます!
では、3月の高め作品です、どうぞ!

▶︎南海キャンディーズLIVE「南海キャンペーンズ」山崎静代の日
もう語るまでもなく面白いを更新し続けている、アンパサンドの安藤奎さんが脚本・演出をされるこの公演!出演者には、山崎静代さんの他に、シソンヌじろうさん、吉住さん、そして、安藤作品でもひときわ異彩を放つ鄭亜美さんが揃い踏み。チケット取れるかなぁ…の不安を募らせながら、こちら超絶おすすめいたします!安藤作品ファンの方は言わずもがな、まだ未見の方はぜひぜひ!

▶︎ひくねとコントサークル主宰「テアトロコントspecial/ひくねとコントサークル主宰「後輩が頼んだ中トロ 僕が頼んだツナマヨ」」
第1回公演である前回の「雪見だいふくの第一印象は固い」が面白くて、今回、情報解禁された時からずっと楽しみにしています!福井さんをはじめとする前回公演の強力メンバー、サルゴリラの児玉さん、テニスコート/画餅の神谷さん、浅野千鶴さんが再び集結し、さらにはジェラードンのアタック西本さんと西出結さんが加わり、大変痺れます!(余談ですが、昨年のテアトロコントで見たサルゴリラさんの「スクープ」というネタが大好き)

▶︎舞台『千と千尋の神隠し』
初演を配信で観て、いつか再演がある時は劇場で観たいと思っていた作品。東京ではじまり、愛知、福岡、大阪、北海道、そしてロンドンでの同時上演。すごいですよね!果たして私はチケット取れるのでしょうか。出来ることならばロンドンで観たい!(またも余談ですが、ロンドンで観たトトロも大変面白かったです)

▶︎ダウ90000「30000」
ただただ、大変楽しみです!!!!

▶︎B子「精神明晰サバナに没す」「さんぽハイ」「日めくりカレンダーAタイプ読み聞かせ」「日めくりカレンダーBタイプ読み聞かせ」
1月におすすめしたB子「さんぽハイ」は、出演舞台と被ってしまい行けず、2月の「ナオト・イン・パラディズム」を楽しみにしてましたが残念ながら公演中止となってしまい…。なんと、来たる3月11日(月)には、佐藤佐吉演劇祭に参加され、1日で4作品を3回ずつ、計12ステするという…!それも休憩なしの一人芝居!す、すごいです。やっと観られるの嬉しいです。

春が顔出しはじめ、三寒四温はつづきますが、皆さまお身体大切に、いい観劇ライフを!

佐久間麻由
俳優・企画制作者。 劇団「スリーピルバーグス」所属。企画ソロユニット「爍綽と」主宰。 次回出演作品:スリーピルバーグス第2回〝今度も野外〟公演『タイトル未定』作・演出:福原充則 2024年晩夏
X(旧:Twitter):@mamamayuuuu
公式サイト:https://www.lespros.co.jp/artists/mayu-sakuma/

俳優・田代明の優先順位高め!

こんにちは、田代明です。
2024年に入ってからは12作品の舞台を観れております。個人的にはいいペース…!
春めいてきてよりお出かけしたくなるこの季節、さぁ、じゃんじゃんいきましょう!!

ブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』
9.11の際に起きた事実を元にしてできた作品。というと、重い内容のように感じてしまうかもしれませんが、この作品が伝えたいのは、助け合う心。人の繋がり、あたたかさ。あの日、アメリカの領空は閉鎖され、行き場を失った38機の飛行機と7000人の乗客達は、ガンダーという小さな町に降り立ちます。混乱の中、町の人々は乗客達を優しく迎え入れます。そんな5日間のお話を、12人の役者の皆様がなんと100人ものキャラクターを演じ分けて歌い紡ぎます。演出は、テーブルと椅子、そして役者自身の身体も多様に使うとても”演劇的”なものとなっているそうです。舞台でしか味わうことの出来ない感動を目一杯味わえそうな作品です。

ミュージカル『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』
宮本亜門×市村正親×大竹しのぶの組み合わせで、5度目の上演が行われる今作。名匠ソンドハイムの代表作であるスウィーニートッドは、とにかく曲が良い、そして難しい…!ソンドハイム感を音色から浴びせられます。私は映画でしかこの作品を観たことがなかったので、やっと、大好きな大竹しのぶさんで観劇することができる事が今からとても楽しみです。

アマヤドリ本公演『人形の家』
昨年の「天国への登り方(再演)」が初観劇だったアマヤドリさん。身体表現と繊細な会話劇が織りなすあの世界観…シアタートラムで観た衝撃をいまだに覚えております。今回の本公演はヘンリック・イプセンによる不朽の名作「人形の家」に大胆な脚色を施し、現代口語による上演台本をあらたに創作。そして、会話主体の《激論版》と身体主体の《疾走版》というふたつの解釈に沿って公演を行います。
人間らしい人間がたくさん出てくるこの作品を、アマヤドリがどのように再構築し表現してくれるのか、ワクワクがとまりません。

3月は、4月が始まる前の助走みたいな季節だなって勝手に思ってるのですが(ごめんね3月、助走だなんて言って)、早めにいろんな準備を終え!!ぜひ、余った時間は劇場に行き、新しい季節を心豊かに迎えましょう!!

田代明
俳優・歌手
北海道札幌市出身。東京藝術大学声楽科卒業。演劇、ミュージカル等、舞台を中心に幅広く活動中。
5月3日(金・祝)~5月5日(日) ミュージカルユニットWAO「かえるのロッキンチェア」出演予定。
X(旧:Twitter):@akkarindays

俳優・片桐美穂の優先順位高め!

3月といえば……。中学2年の時、全校生徒を前にした極度の緊張により、卒業生でもないのに泣き、震えながら送辞を読んだことで、意図せずして体育館を感動の渦に巻き込んでしまった事を思い出します!
卒業生の皆様、ご卒業おめでとうございます!
今月から、4月に出演するニッポン放送開局70周年記念公演『鴨川ホルモー、ワンスモア』の稽古が始まりますが、合間を縫って行きたい作品達がここにある!

ミュージカル『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』
「ソンドハイムさんや、やってくれたな。」と直接作曲家に言いたいくらい難解な楽曲が、まぁ、魅力的!不穏な音達と、耳が置いていかれるほどのスピード感に、1度聞いたら虜になること間違いなし。悪夢のような、とんでもなくて、最っ高な作品です。

PARCO PRODUCE 2024「リア王」
2022年の『セールスマンの死』で心を鷲掴みにされた、ショーン・ホームズさんと段田安則さんのタッグを再び!ショーン作品は「登場人物(人間)と向き合う」みたいな感覚で、とても「人間味」を感じるんです。個人的には、自身も「劇団員」とコメントしている、ショーン作品常連の前原滉さんも楽しみです。U30チケットがあるのも魅力的!

寒暖差が激しいのでね、無理せずね。今月も皆様が楽しい観劇ライフを送れますように!

片桐美穂
役者。ブルーノ・マーズ、藤井風、バレエ、猫をこよなく愛する29歳。
次回出演▶ニッポン放送開局70周年記念公演『鴨川ホルモー、ワンスモア』(原作:万城目学 脚本・演出:上田誠(ヨーロッパ企画))
東京公演:2024年4月12日(金)~4月29日(月・祝)・大阪公演:5月3日(金・祝)~5月4日(土)
X:@____obese
Instagram:@katagiri_miho

脚本家/演出家・ 萩田頌豊与の優先順位高め!

気づけば3月。私ごとですが、あたふたとしております。
残りもあと9ヶ月。トホホ…でも負けない!うん!頑張ろうじゃないか!よいしょ!
そしたら、3月の見に行って欲しい演劇と、面白そうだなと思った演劇を紹介します。
でもその、ここで書かなかったら面白そうだと思わなかったとかじゃなく、その気づけなかったとか色々あるので、その許して欲しいです。
そしたら!ローソンチケット演劇部活動報告。ローソンチケット演劇部として恥の無い報告ができるよう頑張ります。
以下紹介文。

ゴツプロ!演劇部 第三回公演『またね。の毒性と永い夜』
只今、隣のOFFOFFシアターさんで、同時期にやっております。
どうか、私共々気にして頂けたらと思います。
またね。が秘める毒性とエモさが立ち込めるタイトル。非常に格好いいです。是非に宜しくお願い致します。

ジャージのイタコ vol.1「殺意(ストリップショウ)」
以前、ワークショップでご一緒させていただいた時に、優しい方でした。優しい方は応援したいし、皆に知ってもらいたい。どういう内容かは知りませんが、主宰の宮村さんが優しかった。それでいいですか?

日本のラジオ『蛇ヲ産ム』
良いですね。タイトル。禍々し気持ち悪い。ホラーということらしいですが、毎回僕からしたらホラーだと思うのですが、今回ちゃんとホラーと銘打ってるので、怖いのかな?嫌だな。
アフタートークで出ます。ホラー漫画の話をするらしいのですが、嫌われたくなくて「僕もホラー漫画読みます。潤一郎とか!」と言ったが、伊藤潤二と間違えていた。誰だろう。潤一郎は。

人間嫌い『いい旅、現実気分。』
いい旅夢気分のパロディタイトル。おしゃれ可愛い。「旅をしてきました。」と申告すると、割り引かれると書かれています。そういう現実とのリンクがまた良いですね。可愛らしくちょっぴり狂気の混じる作風の劇団だと思います。
おすすめ。

排気口『排気口新作公演「光だと気づいた順に触れる指たち」』
良いですよね。本当に。良い。
頑張って欲しいし、皆様に観に行って欲しいです。
エモい作風なので、エモいの好きならぜひ。
余談ですが、排気口主宰の菊池君のお父さんは「金田一少年の事件簿」は持ってないけど「金田一37歳の事件簿」を単行本で集めてて、どういう漫画のセンスしてるんだろうと思ったのが記憶に新しいです。

猿博打特別公演第三弾『まじめにきまじめ』
3人ユニット。
申し訳ないのですが観たことないので、、おそらくこんな作風なんだろうなというのを勘で書くのですが、
非常にまっすぐ明るく元気になるような作風だと思います。
多分わかりやすいんじゃないかと思いますし、誰にでも理解されるような作品作りを試みていると思います。
これが3人ユニットという情報しかない状態で書いた推薦文の限界です。
本当にちゃんと観に行くので申し訳ない。許して欲しい。
お勧めです。

いいへんじ『友達じゃない』
友達じゃない人同士のアフタートークの試みがとても良いなあと思います。
友達じゃない。って言える存在って結構少ないなと思います。
少し話しただけで友達と軽々しく地位を決めてしまうけど、そんなんじゃ友達じゃないんだろうなと思いました。
お勧めです。
そして王子小劇場演劇祭が今月は開催しております。
全劇団最高のラインナップです。
どこ観に行っても面白いので、最高の演劇祭です。

東京にこにこちゃん「ネバーエンディング・コミックス」
2月から3月を股にかけてやっております。
やれること全てぶつけますので、私ごとで大変恐縮なのですが宜しくお願い致します。

いやあ、今月も最高の観劇月ですね。
毎日毎日。日本中で芝居が産まれ終わっていく。
全ての初声を聞きに行きたい。
そんなことを思ってます。
皆に幸あれ。ではまた4月に。

萩田頌豊与
脚本家。演出家。
日本で最もチケットの取れる劇団『東京にこにこちゃん』主宰。
1991年1月4日生まれ。
身長193cm
体重110kg
X(旧:Twitter):@CollinesBar
公式HP:東京にこにこちゃん 公式サイト

脚本家/演出家・海路の優先順位高め!

海路です。みろって読みます。
私事で近況の話になりますが、先々の作品の脚本を書く日々が続いておりまして、毎日紙に向かいながらフムフムしてます。フムフムしながら寝ちゃった時が、一番気持ちが参ります。
てなてなことで、3月の優先順位高めな作品はこちら!!

赤堀雅秋プロデュース「ボイラーマン」
まずキャストがまあ豪華。田中哲司さん、安達祐実さんをはじめ、でんでんさん、樋口日奈さん、村岡希美さん、水澤紳吾さん、薬丸翔さん、さらに我らが井上向日葵さんと、この並びだけでも絶対面白い。赤堀さんも作・演出のみでなく、ご出演までされるという、豪華さ。ある夜のY字路で交錯する9人のワンシチュエーション劇で、赤堀さん作品を見慣れている方でこそ新鮮に感じるはずとインタビューで語られていて、本多劇場にいったいどんな空間が出現するのか、楽しみでなりません!

南極ゴジラ『(あたらしい)ジュラシックパーク』
こちら未見の団体さんの本公演。ここ最近、「南極ゴジラ」という団体名をよく耳にして、まずその劇団名のパンチの強さ、というかカッコいい名前だなって思ってます勝手に。HPを見てみると、これまたエッジの効いた個性的な写真とフライヤーが並んでいて、「あたらしく始まったゆかいな劇団」の文字。何やら面白いものが観れそうな予感が、プンプンしてます。加えて劇場が数々の若手を排出してきた王子小劇場とのことで、期待値上げ上げです!

PARCO PRODUCE 2024『東京輪舞』
こちらとっても楽しみな公演。東京で生きるリアルな男女10人を、高木雄也さんと清水くるみさんが、5役ずつ演じるという二人芝居。なんといっても、本作、脚本を範宙遊泳の山本卓卓さん、演出をKUNIOの杉原邦生さんと、今演劇界でナンバー1、2に勢いに乗っているのではないか、というお二人がご担当されている、というのが個人的に激アツで、山本さんの細やかなセリフ、杉原さんの魅せる演出、どっちも大好き過ぎて発狂ものです!

※高木雄也の「高」は「はしごだか」が正式表記

海路
脚本家。演出家。監督。
劇団papercraft主宰。アミューズ所属。『檸檬』にて第29回劇作家協会新人戯曲賞を受賞。
1999年7月20日生まれ。
X(旧:Twitter):@nonde_miro

ライター・中川實穗の優先順位高め!

3月、卒業の季節ですね。わたしも今月でこのコラムは卒業です。初めて参加したのがたしか2021年4月なので、気付けばまる3年も書かせてもらってしまいました。毎月ありがとうございました。

早速ですが、今月は『メディア/イアソン』です。概要だけでもしびれるので公式サイト(https://setagaya-pt.jp/stage/2164/)を見てほしい(ぶん投げ…)。夫イアソンの裏切りによって王女メディアが我が子を殺めるというギリシャ悲劇『メディア』が題材で、だけど復讐劇に終始せず前日譚も描くという作品で、脚本をフジノサツコさん、演出を森新太郎さんが手がけ、井上芳雄さん、南沢奈央さん、三浦宏規さん、水野貴以さん、加茂智里さんが出演する五人芝居です。加茂さんは「スウィング(アンダースタディ)として森の演出作品に関わっていた時に、森がその才能を高く評価して今回の出演につながりました」と書かれていてたのしみです。ギリシャ悲劇をこの方々がつくるのなら観たいじゃないか、というシンプルな期待で待ち構えています。
既に大阪で開幕していますが、MONO第51回公演『御菓子司 亀屋権太楼』もチケットを買いました。MONOの公演は毎回楽しみにしているのですが、新作ということで余計に楽しみです。“価値観の変わり目”が描かれる作品のようなので内容がとても気になっていますが、やっぱり一番はお芝居。早く観たいっす。東京はU-22チケットに加えてU-34チケットもあるそうですよ。

舞台『千と千尋の神隠し』はチケットがないから紹介できないだろうと思ったら、この原稿を書いている時点(2月25日(日)20時)では、ローチケ半館貸切公演(@帝国劇場)だけはまだありました。お見逃しなく。作品的に演劇初体験の方にオススメというのはもちろんですが、演劇好きにも超絶オススメです。初演、いまだに時々思い出します。

いろんな人がきっとそうだろうけど、ショーン・ホームズ演出のPARCO PRODUCE 2024『リア王』はわたしも楽しみだし、『HUNTER×HUNTER』THE STAGE 2オフィスリバープロデュース『お目出たい人』も楽しみにしとります。

さてさて、ここまでありがとうございました。とはいえわたしは今後も劇場に足を運ぶ予定です。これからも、あいまいなものや奥行きのあるものが存在し続けてくれますように。

中川實穗
ライター。日本の戯曲が多めですが、ジャンル問わずに観ます!
X(旧:Twitter):@miho_sgt

批評家・山﨑健太の優先順位高め!

花粉から逃れてどこか遠くへ行きたい、と毎年思いつつ公演も多い3月。

2月の優先順位高めで挙げた『インヘリタンス-継承-』はニューヨークに生きるゲイたちとそのコミュニティにおける「継承」を描いて早くも2024年のベストプレイに遭遇したと思わされた。素晴らしい戯曲と俳優陣に拍手。3月2日(土)には大阪公演、3月9日(土)には北九州公演もあるので是非チェックを。しかし残念だったのはプロダクション側から日本のゲイの現状について触れる発信がほとんどなかったこと。『インヘリタンス-継承-』のテーマの一つが語ることによる継承だったことを考えると、そのプロダクションをめぐって日本のゲイについて語られる機会がほぼなかったことは痛恨である。

というわけで今月の優先順位高め1本目は「オープンリーゲイの劇団」を掲げる劇団フライングステージ『こころ、心、ココロ 日本のゲイシーンをめぐる100年と少しの物語』で日本のゲイが直面してきた現実にも目を向けたい。『『インヘリタンス-継承-』も前篇後篇合わせて6時間半の大作だったがこちらも「第一部 名も無き時代(1914年~1970年)」「第二部 名付けること、名付けられること(1970年~2023年)」の二部構成で「100年と少し」を描く。

2本目。ホエイの劇団10周年にして5年ぶりの新作公演となるホエイ『クチナシと翁』
は、高齢化率50%を超えるとある町を舞台に、来年廃止が決定した「かかし祭り」をめぐって展開する物語。ホエイの作品はオーソドックスな演劇のスタイルを用いながら、しばしば極めて演劇的な仕掛けでもって観客を巻き込み、舞台の上の出来事を他人事にはさせないパワーを持っている。今作も笑っているうちにいつしかシビアな現実と向き合わされる、そんな作品になるのではないだろうか。

3本目はPARCO PRODUCE 2024『東京輪舞』。『バナナの花は食べられる』で第66回岸田國士戯曲賞を受賞した山本卓卓が1900年に出版されたアルトゥル・シュニッツラー『輪舞』を現在の東京を舞台に翻案し、演出を杉原邦生が担当。10組のカップルによる情事の前後のダイアローグをつないだ二人芝居(!)とのことで戯曲としても演出としても、そしてもちろん出演する高木雄也と清水くるみが1人5役を演じるという点でも、演劇的な見どころだらけの舞台になりそう。

※高木雄也の「高」は「はしごだか」が正式表記

山﨑健太
批評家・ドラマトゥルク。演出家・俳優の橋本清とともにy/nとして舞台作品も発表しています。
X(旧:Twitter):@yamakenta

ライター・井ノ口裕子の優先順位高め!

寒暖激しくてちょっとお疲れ気味なときは、楽しい舞台で元気をもらいましょう!
まずは、2.5次元の人気作2作品。

ミュージカル『刀剣乱舞』 ~陸奥一蓮(みちのおく ひとつはちす)~
「刀ミュ」の新作はやっぱり外せません。今回は久しぶりに三日月宗近 役の黒羽麻璃央さんが出演するのが楽しみなところ。他に出陣するのは、佐藤流司さん演じる加州清光はじめ、蜂須賀虎徹、鶴丸国永、水心子正秀、大包平、山姥切国広と、人気の刀剣男士が顔を揃えます。

舞台『弱虫ペダル』THE DAY 2
 自身もキャストとして出演していた俳優の鯨井康介さんが演出を担当する3作目の「ペダステ」。インターハイ2日目の激闘の自転車ロードレースの物語が描かれます。手に汗握るレースシーンからは目が離せませんし、泣けるシーンも満載の感動作です。

気になる漫画原作のミュージカルがもう1作。
 
ミュージカル『町田くんの世界』
 原作は安藤ゆきによる漫画『町田くんの世界』。2019年には映画化もされた大人気コミックの初ミュージカル化です。勉強も運動も苦手で、アナログ人間で不器用だけど、周りの人から愛される男子高校生・町田くんの日常を描いた新感覚人間ドラマ。演出のウォーリー木下さんが、優しくて美しい世界をどんなふうに観せてくれるのか期待しています。
 
人気脚本家が主催する劇団の最新作も注目です。
 
山田ジャパン2024年3月公演『愛称⇆蔑称』
 『全裸監督』『ヒヤマケンタロウの妊娠』『新聞記者』『サ道2021』など多くの話題作の脚本を手掛ける山田能龍さんが主催する劇団「山田ジャパン」の新作舞台。最新作のテーマは“あだ名”。子供の頃、当たり前に使っていた“あだ名”とは愛称か蔑称か…という賛否ある難問に切り込んだ哲学コメディ。長野県の中学校を舞台に“あだ名問題”がどう描かれるのか興味深い。主人公の教師を原嘉孝さん。口うるさい教頭を「山田ジャパン」旗揚げメンバーのいとうあさこさんが演じる。

井ノ口裕子
ライター。観劇の入口は中学生のときの宝塚。それから観劇は一番の趣味です。小劇場からグランドミュージカルまで、ジャンルは問わず面白そうと思ったら何でも見ます。

ライター・岩村美佳の優先順位高め!

春、3月。特に楽しみにしているのは、ブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』ミュージカル『20世紀号に乗って』『メディア/イアソン』の3作品です。

ブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』は、2001年9月11日の同時多発テロの裏で、カナダにある小さな町・ニューファンドランドで起きた驚くべき実話をもとにしたミュージカルで、2017年第71回トニー賞をはじめ数々の演劇賞に輝いた作品の日本初演。こんなキャスティングありえるんですね!と誰もが驚いた、日本ミュージカル界を代表する12人のキャストが集結。絶対に目が足りないと思われますが、作品と役者の両方の力が融合する瞬間を目の当たりにできるだろうと期待しています。

ミュージカル『20世紀号に乗って』は、『ハウ・トゥ・サクシード』以来、主演・増田貴久さんと演出・クリス・ベイリーさんが再びタッグを組んだブロードウェイミュージカル。取材させていただく機会があって伺ったお話によると、今回版ならではの華やかな演出が盛り込まれているそう。2019年に宝塚歌劇団・雪組版を拝見しましたが、その違いも含めとても楽しみです。

『メディア/イアソン』は有名なギリシャ悲劇『メディア』と、その前日譚を描いた『アルゴナウティカ/アルゴ船物語』を組み合わせて描かれる新しい戯曲が上演されます。タイトルロールのお二人、井上芳雄さん、南沢奈央さんを筆頭に、三浦宏規さんら5名のキャストで、森新太郎さんの演出という座組にも期待が高まる新作です。

岩村美佳
ライター。フォトグラファー・ライター。初観劇は小学生の時に観た宝塚。ミュージカルを中心に色々と観劇しています。配信観劇も存分に楽しめるようになりました。超絶猫好き。
X(旧:Twitter):@nyanyaseri

ライター・古内かほの優先順位高め!

年度末ですね。3月もあっという間に過ぎ去っいくのだろうと思いつつ、桜の開花が楽しみでもあります。

2019年に宝塚版を観て、もう一度舞台上で観てみたいと思っていたミュージカル『20世紀号に乗って』が新たなカンパニーで上演ということで、5年ぶりに観られるのを楽しみにしています。1930年代初頭のアメリカを舞台に、NY行きの豪華列車に乗り込んだ個性溢れる人物たちのてんやわんやの狂騒、ショーアップされた華やかなナンバーが魅力の、笑いに溢れたコメディミュージカルです。初見の方は、舞台演出家兼プロデューサーの主人公・オスカー(増田貴久さん)と大女優リリー(珠城りょうさん)の恋の行方も楽しみながら観てほしいです。

ミュージカル『魔女の宅急便』では、子供の頃から親しんできた物語をぜひ童心に帰って劇場で味わいたいと思っています。「東宝シンデレラ」オーディションでミュージカル賞を受賞した山戸穂乃葉さん演じるフレッシュなキキに期待!

また、豪華キャスト陣が集結し、見応え聴き応えが抜群そうなブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』は、日本初演になるのでこちらも注目している作品です。100分間の濃密な世界をぜひ体感しに行きたいです。

ミュージカル以外では、『メディア/イアソン』が気になる作品。フジノサツコさんと森新太郎さんのタッグで新たなギリシャ神話の世界に出会えそうな予感がしています。

古内かほ
ライター。観劇の入り口は小劇場から。近年はミュージカルを中心に観劇しています。
X(旧:Twitter):@kahonfuu

ライター・河野桃子の優先順位高め!

年度末は舞台に限らずイベントごとが多い時期なので、時間をどう使うかってすごく迷います。そのなかでも「行きたいなぁ」とぐぐっと心が動いたものが、いいへんじ『友達じゃない』。サイトのごあいさつにある「演劇をする以外に友達と友達でいる方法がわからなくて……」に頷きつつ、締めつけられつつ、頭の隅には「個人的な課題を作品をするときにとたんに私小説ふうになってパーソナルすぎてついていけなくなることってあるよなぁ」という考えがふとよぎり、でもそれを「いいへんじならその不安はいらないかな」と軽やかに真摯に受け止められる安心感があります。これまでのいいへんじを振り返っても、個人的なことも作品として客観的に、舞台の上に置かれてきました。いや、そのごあいさつの文からだけでも、個人のことと誰かのこと、私のこととあなたのこと、それを同じ地平で見渡すように目をこらす気配を感じます。そこにはかならず「私」だけではない「あなた」や「誰か」がいる。そう信頼を寄せて観に行きたくなる劇団です。

もうひとつ、パラドックス定数『諜報員』。「ここだけはわざわざ遠征して観に来るんです!」という人がいるのも超頷ける毎度のクオリティ。今回の題材はソビエトの諜報員、リヒャルト・ゾルゲ。史実の人物たちが登場する作品と、そうでない作品で、パラドックス定数の印象は違うのですが、史実の場合は人間のドラマ性が強くなる気がします。いろんな作品の題材になっているゾルゲ事件が、演劇性とフィクション性が濃縮されたドラマになるんだろうなと……これは予想です!

河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
X(旧:Twitter):@momo_com

ライター・釣木文恵の優先順位高め!

1月の本欄でご紹介した『倉たけしVS御崎進 休戦条約』、一度公演延期となり、振替公演に先日行ってきたのですが、すごかったです。架空の人物たちが和解と決裂を繰り返す90分。何をどこからどう考えたのか、全く想像のつかない公演でした。ああいうものに出会えるから、お芝居やライブを観続けたいなと思います。

回答者~赤坂7−2−21の集会~
紙袋をかぶった人物に記号を組み合わせたような手書き文字でタイトルが書かれた不穏なビジュアル。情報は鍵付きのXアカウントで発表されるという込み入った発信の仕方。前回、食指が動いて見に行ったところ、ストーリー仕立ての大喜利ライブという新たな試みがなされていました。今回はさらに、ストーリーレーベル・ノーミーツがプロデュースを、画餅の神谷圭介さんが脚本演出を担当するとのこと。物語を進める役割には前回に引き続き出演の贅沢貧乏の青山祥子さん、オツハタさんに加え、八木光太郎さん、三葉虫マーチさんの名前も! お笑いと演劇が思いがけない場所で融合していくのは、とても興味深いです。

テアトロコントspecial/ひくねとコントサークル主宰「後輩が頼んだ中トロ 僕が頼んだツナマヨ」
コントトリオGAGの福井俊太郎さんによるプロジェクト。昨年3月に行われた第1弾では、トリオのときとは異なる感触で、人の機微を捉えたコントが繰り広げられていました。今回初参加の西出結さんはきっとこの世界に合いそう! アタック西本さんはここに入る姿があまり想像できない! そんな両極端の組み合わせだからこそ楽しみです。

タイマン舞台〜芸人与太郎 たじる&エレジー〜
ケンドーコバヤシとハリウッドザコシショウ。養成所の同期で親友の二人。それぞれにお笑い界で無二の存在感を放っています。「一生、狂ってようぜ」と約束したという二人のツーマンライブ、何が起こるのか想像さえつかないけれど、これは見ておかないと! と思わせる組み合わせです。

釣木文恵
演劇を中心にインタビュー記事などを執筆。最近はお笑い関連の仕事も増えてきました。
X(旧:Twitter):@troookie

ローチケ演劇部_白の優先順位高め!

春一番も吹きすっかり春らしく、、、とはいかずまだまだ寒い!
そんな3月の優先順位高めな公演は以下です。

まずは公演は2月からやってますが、観るのは3月ってことで、KERA CROSS第五弾『骨と軽蔑』
KERACROSSの最後に満を持してKERAさんが登場。そして新作!女性ばかりの出演者は名作「フローズンビーチ」を思い出しますね。注目。

そしてさらに注目いただきたいのが、破壊ありがとう単独ライブ「洒落臭い」。平均年齢24歳のトリオ。過去テアトロコントで2度観てますが、ネタのバラエティもあり、3人の特性も活かして面白いです。チケットも瞬く間に完売してしまい追加公演も決定。これからな3人組に注目。

これも注目だよね。ダウ90000単独ライブ『30000』。しかしながら、これまで運よく勝ち続けてきたチケット争奪戦に敗れてしまったのです。行けるかたおめでとうございます!わたしはリセール情報を逐一チェックしたいと思います。

ほか、赤堀さんの新作が期待の赤堀雅秋プロデュース「ボイラーマン」、ひくねとコントサークル主宰『後輩が頼んだ中トロ 僕が頼んだツナマヨ』などを観たいと思っています。

最後に、まだやってるってことで、東京にこにこちゃん「ネバーエンディング・コミックス」。3日(日)まで下北沢・駅前劇場でやっております。ハズレることを知らない東京にこにこちゃん。今回もスマッシュヒットです。大注目。