花形歌舞伎特別公演 曽根崎心中物語 中村壱太郎、尾上右近取材レポート

Ⓒ松竹

南座では、2026年3月3日(火)から25日(水)まで、「花形歌舞伎 特別公演」にて、中村壱太郎、尾上右近の活躍めざましい花形俳優二人がお初・徳兵衛を役替りで勤める『曽根崎心中物語』を上演。
近松門左衛門が元禄16(1703)年に実際に起きた事件を基に書き下ろした作品で、当時心中ブームを起こしたほどの傑作。時代を超えた悲恋が、花形俳優のダブルキャストにより、令和の京で新時代を迎える。

上演に先駆け、取材会が行われ、中村壱太郎と尾上右近が公演にかける意気込みを語った。

中村壱太郎

「まさか自分が徳兵衛をやるとは思っていなかったので新鮮な思いがあります。今、『曽根崎心中』という演目は様々なところから注目されているかと思います。今回の公演では、初めて歌舞伎を見るという方にも、歌舞伎っていいねって思ってもらえるように、曽根崎心中“物語”と付いています。私の父・中村鴈治郎が“物語”としての監修を行う予定です。上演時間はコンパクトにしながらも、より内容がわかる、何を伝えたいのかがわかる『曽根崎心中』にしたいです。また、今回も上方の俳優さんたちに出演していただいて、公演を支えてもらいたい、一緒に作っていきたいという思いを持っています。例年通り、入場者特典やグッズも充実させる予定です。1か月44回の公演、駆け抜けたいと思います。」

尾上右近

「壱太郎さんの徳兵衛を見たい、自分もお初をやってみたいという気持ちがあり、それならダブルキャストでやってみてはどうかと考えました。壱太郎さんと同様に、まさか自分がお初をやる日が来るとは夢にも思っていませんでしたので、なんにでもチャレンジしていくつもりで取り組んでいきたいです。2024年2月の大阪松竹座『曽根崎心中』で自分が徳兵衛を、壱太郎さんがお初を演じた時、壱太郎さんのお初が神々しく、キラキラ光って見えました。今回自分もお初を勤めさせていただきますが、壱太郎さん演じる徳兵衛にとって、自分の演じるお初がキラキラした存在に感じてもらえたら嬉しいです。僕ら二人の“死ぬる覚悟”が見たかったらぜひ南座にお越しください。」

会見中、終始仲睦まじげな様子の二人に、会場は和やかな雰囲気に包まれた。