12月になりました。年々早くなっていく1年でありますが、きっと今月も脱兎のごとく過ぎ去っていくことでしょう。1年読んでくださったみなさま、書いてくださったみなさま、書かせていただいた公演関係者のみなさま、大変お世話になりました。というわけで、まだ1ヶ月ありますが、今年最後の「優先順位高めです」です。よろしくどうぞ。
俳優・異儀田夏葉の優先順位高め!
はい年末です。
私はせっかちなので12月なんてものはもはや2024年という認識です。
占いが大好きなのですが、来年からの占い本や雑誌、すでに3冊買っています。
パラパラとめくり、あんまり良くないと書いてあるものは絶対に買いません。
来年はいい年でしかない、そうだろう?
じゃあ占い本買わないでいいじゃんって?
…そうだね!!
さて、今年を締めくくる今月の優先順位高めなのはこちら!!
good morning N°5「失うものなどなにもない」
作・演出:澤田育子
音楽:中村 中
浅草九劇賞を受賞した「どうしようもなくて、衝動。」を観に行ってからというもの、ほぼ全公演拝見してます。
澤田育子さんの紡ぐ言葉を浴びたい、俳優たちの汗、つばを浴びたい、中村 中の音楽を浴びたい!!というくらい、私はgood morning N°5中毒と言ってもいいでしょう。グッ中です。
私はgood morning N°5の芝居は小劇場というよりも、神楽の類だと思っています。神様に奉納する演劇。なーに言ってんだ?と思うかもしれませんが、全身全霊の俳優たちの芝居に、生きる喜びのようなものを感じて救われた気持ちになるのです。
そして今回、出演もしながら音楽も担当する中村 中ちゃんよ!!
毎回命を削って音楽・挿入歌を作っていて、ほんと名曲だらけです。そろそろgood morning N°5のアルバムを作って欲しいよ。
公演タイトルも最高じゃないですか?失うものなどなにもない。だから無茶もできるんだよ!!タイトル聞いただけで勇気出る。
なんと言っても年末感!!忘年会のつもりで劇場に集合いたしましょう。
穂の国とよはし芸術劇場PLATプロデュース「たわごと」
作・演出:桑原裕子
2018年ハヤカワ「悲劇喜劇」賞もとった「荒れ野」(名作)と同じくとよはし芸術劇場PLATプロデュースで、バラさんこと桑原裕子さん作・演出の今作。
しかも尊敬してやまない松金よね子さんや松岡依都美嬢も出演。谷恭輔くんは久々の舞台出演なんじゃないかな。(頑張ってぇーーーー!!)
そしてドラマ「タクシー飯店」で大ファンになった渋川清彦さん!!渋川さんの運転するタクシーに乗りたい!!今回はなんの役なのかしら!!バラさんの描く男性はどんな役もどこかキュートなので、より期待が高まどぅー!
この楽しみすぎる豪華メンバーに、バラさんがどんな物語を書いたのか!!
豊橋、京都、岡山での公演を終え、ついに東京へ!!
えぐられそうで怖いですが、とても楽しみです!!
城山羊の会「萎れた花の弁明」
作・演出:山内ケンジ
私も一俳優なので、面白い団体や作品には喉から手が出るほど出たい!!と思うのですが、中には、私はきっとなんかちがうんだろうなぁ…って思ってしまうものも中にはあるのも正直なところで、ハイ、城山羊の会がその一つです。なので、絶対的憧れ、みたいなものがあるんですよね。
そして三鷹市芸術文化センター星のホールで城山羊の会をやる、ということはまたあの方の前説が見られるのでしょうか(星のホールで上演の時には城山羊の会恒例のものがあります)。
実は舞台でも映像でも共演してる村上穂乃佳ちゃんも、作演出としても活躍している劇団普通の怪優、石黒麻衣さんも出演。
なんと言っても城山羊の会は三鷹で観ることの醍醐味がある、それもまた素敵。
みなさま、今年はどんな観劇で感激しましたか?
こんなつまらないことをいうくらいわたしはもう年末気分でうかれていますが、来年も素晴らしい演劇がたくさん生まれるといいなぁ。
わたしも素晴らしい演劇をたくさんお届けできるようがんばります。
ひと足はやいですが、良いお年を!!
脚本家/演出家・海路の優先順位高め!
海路です。みろって読みます。
先日、W杯が既に1年前になっていることに衝撃を受け、でもだからといって無力だから普通に稽古行きました。こんな感じで気づいたら来年も年末になっているんでしょう、きっと。
てなてなことで、12月の優先順位高めな作品はこちら!!
○good morning N°5「失うものなどなにもない」
澤田育子さん主宰のグッドモーニングナンバーファイブの新作公演。元々気なっていた団体さんなのと、何せ、猫のホテルの市川しんぺーさんがご出演されてるので、絶対行こうと。HPを見ると各回2席限定のVIPシートなるものがあり、B1に一体どんな座席が出現するのかも、個人的に楽しみのひとつです。あと、舞台美術に伊藤雅子さんのお名前があったので、どんな空間になるのか、物凄くワクワクです!
○柿喰う客新作本公演2023『肉食獣』
こちらもとっても楽しみな公演で、60分の上演時間の中で何が起きるのか、何を目撃するのか。昨年始めて柿喰う客を観に行ったなのですが、それがまあ衝撃でして。過去に観てあんなアドレナリン出た公演はなかったので、またあの体験ができるのかな、とか思ってウキウキしてます。しかも劇場がスズナリと、好きに好きがかけ算されてて、待ち遠しいです!
○城山羊の会『萎れた花の弁明』
山内ケンジさん作・演出のこちらの公演。フライヤーに書いてあって思い出したのですが、以前青年団観に行った時に山内さん出られてると思ったら山内健司さんだったことがありました。余談ですが。
劇場が、あの三鷹の星のホール。ちまちまここでも話してるのですが、三鷹でやるってことは、というそれだけでとても期待してしまいます。出演者に以前劇団た組。で拝見した、村上穂乃佳さんもいらっしゃって、とっても楽しみです!
海路
脚本家。演出家。監督。
劇団papercraft主宰。アミューズ所属。『檸檬』にて第29回劇作家協会新人戯曲賞を受賞。
1999年7月20日生まれ。
X(旧:Twitter):@nonde_miro
脚本家/演出家・萩田頌豊与の優先順位高め!
今年もいよいよクライマックス。あっという間の12月。
思い残すことのないように全力で観劇しちゃいましょう。
寒くなってきましたので、ぜひみなさまにはこの場を借りて防寒具の着用をお勧めいたします。
では、今年最後のお勧めをさせて頂きます。以下12月のおすすめ。
いきます。
・柿喰う客『肉食獣』
新作公演ということで大変楽しみです。
中屋敷さんとは、とあるカラオケ大会の審査員を中屋敷さんがしてる時、僕がミスチルを歌い絶賛してもらったことがあります。本当に嬉しかった。ミスチルの魂を見せてもらったというコメントを今でも胸に生きてます。
めちゃくちゃ楽しみです。
・劇団民藝『巨匠』―ジスワフ・スコヴロンスキ作「巨匠」に拠る―
母の友人が民藝にいて、子供の頃何度も観に行った。
ご健在だった大滝秀治さんに頭を撫でてもらったのは今でも覚えております。
久々に思い出と共に観に行こうと思っております。
・マチルダアパルトマン『モミュメント』
これもまた思い出になってしまうんですが、大学で最初に見た芝居が、野田慈伸さん(桃尻犬)が出てた池亀三太さん作演出の『血みどろ君』でした。ひつじ座でした。本当に面白かった記憶があります。
今作も本当に楽しみです。お世話になっております。
かませ氏とてっぺい氏が出てる回は別回なので、ぜひどっちもお勧めいたします。
・ダダルズ『袋破裂』
大石恵美率いるカンパニー。カンパニーって言い方格好いいですよね。積極的に使っていきたいと思います。
本当に、失礼な話なんですが、まだ拝見したことないので、面白そうだな。あと友人の青柳美希がいる。その2点のみで推させて頂きます。是非に。青柳美希はとてもセンスのいい方なので。間違い無いです。
・シベリア少女鉄道『持続可能彼女』
初めて○○に似てるよ。と言われたのが、シベリア少女鉄道さんでした。
そっから観に行ってます。土屋さん大好き。伏線回収の快感が毎回最高です。結構行ってるから言えますが、僕とは全然似てません。今作も超楽しみです。
・城山羊の会『萎れた花の弁明』
城山羊の会も12月。超楽しみです。上品で上質な笑いの到達点。生意気ながら、ああなりたいなと思う場所の一つ。
絶対行こう。
・あんよはじょうず『なるべく強く踏みつけて、』
俺には絶対かけないものを書く人に強い憧れがある。
絶対的な世界観と自分だけの世界の確立も完璧にできている。すごい。ビジュアルもカッケエし。
強くお勧め。
よし!終わり!今年も終わり!今年も本当に最高の1年でしたね。
コロナだインフルだ。かかったら一撃で終わるデスゲームみたいな緊張感の中で皆さん演劇やったりイベントやったり。本当にどうか無事で終わってくれと願うばかりです。みなさま健康で無事に公演ができますように。これは本当に心からの願いです。皆さんが幸せでありますように。願うのは皆のことばっかです。
そして、来年は誰が売れなくても、東京にこにこちゃん然り、萩田頌豊与だけはもっと売れますように。
来年もどうかよろしくお願い致します。
萩田頌豊与
脚本家。演出家。
日本で最もチケットの取れる劇団『東京にこにこちゃん』主宰。
1991年1月4日生まれ。
身長193cm
体重110kg
X(旧:Twitter):@CollinesBar
公式HP:東京にこにこちゃん 公式サイト
俳優・田代明の優先順位高め!
なんと!今年終わるらしいですよみなさん!
今年も一年が早かった事に驚いております田代明です。今年の締め、こんな舞台はいかがでしょうか。
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ジャズ大名』
筒井康隆の傑作小説「ジャズ大名」の舞台化。1986年に映画化もされていますが、今回は新たに小説から上演台本を作り上げ、物語の舞台も九州の小藩から、神奈川の荻野山中藩に置き換えられております。時代は江戸末期、鎖国中の日本に流れ着いた黒人達は牢獄の中に閉じ込められてしまいます。しかし、彼らの音楽に興味を持った藩主によって、次第にジャムセッションの輪は広がっていきます…。幕末にあったかもしれない歴史のお話、音楽とダンスの狂乱と共にお送りするコメディ作品!
『東京ローズ』
日系二世のアイバ・トグリは、第二次世界大戦中、母国アメリカではなく祖母の住んでいた日本で、連合国側向けラジオ放送のアナウンサーとして活躍します。そして彼女は次第に「東京ローズ」と呼ばれ米兵たちから熱烈な支持を受けますが、終戦後、彼女の行っていた行為は母国アメリカでは「国家反逆罪」としてみなされてしまいます。時代に翻弄された彼女の物語を、フルオーディションによって選ばれた6人の女優の皆様が、全員で演じ紡ぐミュージカル。
舞台『OUT OF ORDER』
三谷幸喜さんが影響を受けた作家としても有名なイギリスを代表する喜劇・笑劇作家レイ・クーニ-の作品。私も昔イットランズインザファミリーを観劇し、物語が巧妙だったこと、そしてシンプルに爆笑し続けたことを覚えています。中村倫也さん、ユースケサンタマリアさんを中心に、キャストには個性豊かな皆様が軒を連ねます。既に地方公演は開幕しており、動画サイトなどで公演の楽しげな様子を垣間見ることも出来るみたいです。”芳醇なコメディ”と演出のマギーさんもおっしゃっていますが、大人が全力で七転八倒する姿、それを滑稽だと面白がる、なーんて、いやもうそんなの1番面白いやつじゃないですか。舞台だから笑っていいんですよね、真剣な人を笑っていいのは舞台だから。そんなね、舞台の醍醐味(?)を全力で味わいに行きましょう。
私自身も12/7(木)〜12/13(水)まで堀江貴文プロデュースミュージカル『クリスマスキャロル2023』に出演いたします!今年で3回目の出演なのですが、年々演出もパワーアップしており今年はなんと新曲が3曲も追加されました。師走、皆様お忙しいとは思いますが、私も劇場でお待ちしております!
田代明
俳優・歌手
北海道札幌市出身。東京藝術大学声楽科卒業。演劇、ミュージカル等、舞台を中心に幅広く活動中。12/7(木)〜12/13(水)堀江貴文プロデュースミュージカル「クリススマスキャロル2023」出演
X(旧:Twitter):@akkarindays
ライター・中川實穗の優先順位高め!
12月。一年の終わり。12月と1月でなにかが変わるわけではないけれど、いい気分で一年を納めたい。だから毎年この月になにを観るかは大事にしています。
観劇納めはもう決めていて、梅棒 17th Mystery『花婿は迷探偵 -THE FINAL-』です。ここしばらく心に響く作品が続いていた梅棒ですが、今回はタイトルも(「THE FINAL」ってなに!?)、キービジュアルも(掛け算されるはずないモチーフが掛け算されてる!)、強めにおかしいので、ひーひーなるまで笑えるのではないかと期待しています。年の瀬に笑える作品をつくってくれるのも、わたしにとっては心に響くことですけどね~!たのしみ!
新たな挑戦を楽しみにしているのが『季節はずれの雪』です。この公演、企画者が演出の稲葉賀恵さんと出演の牧島輝さんなのです。ベトナム戦争の帰還兵とその家族のお話しで、わたしはパンフ用に取材をさせてもらったのですが、「この時代にこの物語を描くこと」とみなさんが向き合い、繊細に創作をされている、明るい現場でした。このカンパニーからどんなものが生まれるのか、この作品を観て自分がどんな気持ちになるのか、今とても楽しみです。翻訳は一川華さんが手がけていて、既にある訳ともぜひ読み比べてほしいような翻訳です。
串田和美さんのフライングシアター自由劇場『仮面劇・預言者』もたのしみです。よければインタビューも読んでいただきたいのですが、串田さんが「『お休みしてた27年』っていうと長すぎるけど、そういう気分でやろうかな」とおっしゃるフライングシアター自由劇場の最初の公演です。どんな世界が広がるのか、ただただ観劇するのが待ち遠しいです。
書ききれないですが、『東京ローズ』、まつもと市民芸術館プロデュース『ハイ・ライフ』、舞台『ジャンヌ・ダルク』、フレンチロックミュージカル『赤と黒』も優先順位高めの作品です。
2023年も大変お世話になりました。よい観劇納めを。そしてよいお年をお迎えください!
中川實穗
ライター。日本の戯曲が多めですが、ジャンル問わずに観ます!
X(旧:Twitter):@miho_sgt
ライター・河野桃子の優先順位高め!
気づけばもう2023年最終月。
いつも劇場にどんな羽織ものを持っていくか迷う季節…
みなさん風邪などひきませんように。
今月は、12月の注目から3つ。
●串田和美さんが27年ぶりに活動を再開する、フライングシアター自由劇場『仮面劇・預言者』。ローチケさんでも公演についてのインタビューをされていて、これまでの歴史も串田さんの口から語られるので、読むだけでも楽しいです。
●ダンス、演劇などさまざまなアーティストの集まる『コーラル&ストロベリー』。横浜にある「STスポット」と「急な坂スタジオ」による合同ショーケース企画で、参加アーティストも豪華な6組!どちらの場所も若手などの活動をさまざまな面でサポートし続けてきているので、今回、場とアーティストが信頼しあって創作されているのではないかなと安心感のある企画です。
●大晦日まで公演しているTeXi’s『夢のナカのもくもく』。団体としての第3回公演ですが、すでに注目の声が高く、つられて観に行った第2回公演で「これは……すごいな、演劇だな、目線がはっきりしていて、きっとこの先もっと遠くに届く芯がある」と、良い衝撃をうけました。観客の存在や目線を強く認識しているところがなにより演劇として力強くて、今回は「複数のギャラリーを回遊していただく作品」とのことで、やっぱり「そこの場所にいたい」と思えるんだろうなと期待が湧いてきます。
河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
X(旧:Twitter):@momo_com
ライター・井ノ口裕子の優先順位高め!
もう師走。1年あっという間に過ぎますね(笑)。年末年始は楽しい舞台でテンション上げましょう。
ミュージカル『ミア・ファミリア』
2013年から、韓国の小劇場街・大学路で繰り返し上演されているミュージカルコメディの日本初演。中毒性の高い音楽が話題で気になっていた作品でした。出演は、ミュージカルを中心に活躍する植原卓也、平間壮一、水田航生、3人のみ。同じアミューズ所属でユニット「3LDK」としても活動する彼らのミュージカル初共演作品としても注目しています。12月23日(土)~12月24日(日)大阪公演があるので、興味にある方は是非!
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ジャズ大名』
岡本喜八監督で映画化もされた筒井康隆の小説『ジャズ大名』の舞台化作品。江戸末期、アメリカから漂着した黒人奴隷と出会った音楽好きの藩主が、彼らの奏でるジャズの虜になって、城中でジャム・セッションを繰り広げる奇想天外なコメディ。藩主役の千葉雄大と家老役の藤井隆の掛け合いで、気持ちよく笑わせてもらいたいと思ってます。
年末年始、2.5次元も注目作が目白押しです。
ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』~地下の中心で愛をさけんだMetro~
鉄道を擬人化した人気コミックのミュージカル。ベテラン2.5次元俳優がいい味を出してくれて、毎回、鉄道に詳しくない私でもクスっと笑える舞台です。今回は、東京の地下鉄を走る「地下鉄」をフィーチャーしたスピンオフ。原作を全く知らなくても楽しめます!
ミュージカル『刀剣乱舞』 江 おん すていじ ぜっぷつあー
ライブハウスZeppでのライブ公演を行う、刀ミュ初の“ぜっぷつあー”。昨年上演された“江 おん すていじ”で出陣した8振りが出演。ライブハウスならではの演出&近さで、麗しい刀剣男士を堪能できます。
舞台「呪術廻戦」-京都姉妹校交流会・起首雷同–
芥見下々原作の漫画『呪術廻戦』の舞台化第2弾。主人公・虎杖悠仁を佐藤流司が演じて好評だった第1弾を見逃してしまったので、今回こそ観たいと思っています。
井ノ口裕子
ライター。観劇の入口は中学生のときの宝塚。それから観劇は一番の趣味です。小劇場からグランドミュージカルまで、ジャンルは問わず面白そうと思ったら何でも見ます。
ライター・釣木文恵の優先順位高め!
何かと慌ただしい年末ですが、そんな中でも芝居とお笑いには通い続けたい。今年を締めくくるのにふさわしい……かどうかはわかりませんが、面白そうなお笑いライブを3本ご紹介します。
M-1グランプリ2023前夜祭~CHAMPION LIVE~
ふだんお笑いは見ないけど『M-1グランプリ』だけは見る、という方もいるのではないでしょうか。予選の時間やシード権など今年さまざまな変化のあったM-1の初めての試み、「前夜祭」。2008年王者のNON STYLEから昨年優勝のウエストランドまで、M-1チャンピオンが10組揃うライブ。これはなかなかない機会です。会場の新宿住友ビル三角広場は、今年から初めてM-1グランプリの敗者復活戦が行われる場。そこで過去のチャンピオンを集められるだけ集めて、最高の露払いをしようという趣向でしょうか。共演が多くないコンビが集まったときの、ふだん見られない平場(ネタではなく、トークの時間)も楽しみです。
コントディレクターズカット版〜時間に縛られたネタではなく、ベストの時間でネタをするライブ〜
芸人さんがふだんの寄席、ライブで与えられる時間は1組あたりだいたい5〜10分。賞レースの場合、決勝であっても4分から5分ほど。だから必然的にほとんどの芸人さんは5〜10分尺の漫才やコントを作ることが多く、そこからはみ出したものは単独ライブくらいでしか披露する機会がありません。また、5〜10分を目指して作ったものでも、つい長くなってしまって、泣く泣く削っていろんなライブで披露できるよう調整していくとことも。そういったことを取っ払ったのがこのライブ。過去にも何度か公演されていますが、尺が自由になった途端、各組ともコントを演じるときの熱が増すんですよね。100%の状態のコントを楽しめる貴重なライブだと思います。
GAG企画室『✕魅力人』
キングオブコント決勝を4回経験しているコントトリオ、GAGによる公演『✕魅力人』。GAGのコントを、演劇団体・桃尻犬の野田慈伸さん、贅沢貧乏の山田由梨さん、劇団アンパサンドの安藤奎さんの3人が新たに演出するというもの。リーダー・福井俊太郎さんの書く「ダサ坊」ぶりを描写するコントと、似ている人のいない独特の演技体で無二のコントを紡いできたトリオが、そのコントをさまざまな演出家に委ねてみる。これ、なんで今までなかったんだろう!という、面白い試みだと思うのです。芝居とコントはどう違うのか。演出家の手によって表現はどう変わるのか。ひいては演出とはなにか、ということが見えてくるかもしれません。
釣木文恵
演劇を中心にインタビュー記事などを執筆。最近はお笑い関連の仕事も増えてきました。
X(旧:Twitter):@troookie
ライター・古内かほの優先順位高め!
今年の締めくくり舞台、皆さんはどんな作品を選ばれるのでしょうか。2023年も「いいもの観たな~!」と思って終わりたいですね。
ミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイの新作ミュージカル『ベートーヴェン』がいよいよ日本で初上演。9月に開催された『M.クンツェ&S.リーヴァイの世界~3rd Season~』では改めて楽曲の素晴らしさを実感しましたが、またゴールデンコンビの新たな作品に出会えることが何よりうれしいです。ベートーヴェンを題材にした作品が近年増えている中で、井上芳雄さんを主演に迎えた本作ではどのように描かれるのか、実際のベートーヴェン作曲のナンバーの使われ方など、楽しみなポイントが満載です。
フレンチロックミュージカル『赤と黒』は、先日公開稽古の取材で熱気溢れるシーンを拝見して、期待度がグッと高まりました。ザ・フレンチミュージカルな曲調と多彩なナンバーが印象的な本作。ポスタービジュアルからはクラシカルな印象を受けますが、本編ではポップで現代的な要素を感じられるはず。野心と純真さを携えた三浦宏規さんのジュリアン、今から楽しみです。
新国立劇場のフルオーディション企画の第6弾『東京ローズ』も気になる一作です。2019年にイギリスのBURNT LEMON THEATREが製作した本作を、脂が乗りまくっている藤田俊太郎さんが演出。飯野めぐみさん、シルビア・グラブさん、鈴木瑛美子さんをはじめとるする女性俳優陣6名にも期待大。歴史の新たな一面を知るきっかけとなるミュージカルになりそうな気がしています。
昨年末に客席で観て楽しかった木村達成さんのコンサートの第2弾『木村達成コンサート -Alphabet Knee Attack Vol.2-』は、取材で構想をお聞きして、前回とはまた違ったアプローチのコンサートになりそうで、一観客としてワクワクしています。今年も多種多様な作品に出演されていましたが、今回も歌謡曲からミュージカルまで幅広いジャンルの曲が披露されそうなので、セットリストを妄想しながら当日まで楽しみに過ごしたいと思います。
古内かほ
ライター。観劇の入り口は小劇場から。近年はミュージカルと宝塚歌劇団を中心に観劇しています。今年はミュージカルのZINEを制作してみたいと思っています。
X(旧:Twitter):@kahonfuu
批評家・山﨑健太の優先順位高め!
暑かったり寒かったりで季節を見失っているうちに気づけば年末。
2023年最後の今月の優先順位高め、1本目はKAAT×東京デスロック×第12言語演劇スタジオ『外地の三人姉妹』。チェーホフ『三人姉妹』を1930年代の朝鮮北部を舞台に翻案し、2020年に初演された作品の再演。今回は改訂した戯曲による上演になるとのことで期待はさらに高まる。11月29日(水)に初日を迎えた本作の公演は12月10日(日)まで。
2本目は果てとチーク『グーグス・ダーダ』。1月に上演した『はやくぜんぶおわってしまえ』で中高一貫の女子校に通う生徒たちが否応なく直面させられる地獄のような現実を描き第29回劇作家協会新人戯曲賞の最終候補に残った升味加耀/果てとチーク。本作で描かれるのは大きく厚い壁に分断された世界だ。2017年初演の本作はドナルド・トランプ元大統領がメキシコとの国境に壁を建設することを決めたことをきっかけに執筆されたものだという。2023年の現在から見る景色は果たしてどれだけ変わって見えるだろうか。
3本目はTeXi’s『夢のナカのもくもく』。前作『Aventure』では三島由紀夫『金閣寺』をベースに、その根底にあるマッチョな価値観を転覆させることを試みたTeXi’s。今回は谷崎潤一郎『春琴抄』を原案とした、第13回せんがわ劇場演劇コンクールでも上演した作品を改稿。しかも回遊型のパフォーマンスとして上演するとのこと。12月31日(日)13:00からの回は大晦日割でなんと1,000円(!)なのでこの機会に気鋭の若手劇団をチェック!
山﨑健太
批評家・ドラマトゥルク。演出家・俳優の橋本清とともにy/nとして舞台作品も発表しています。
X(旧:Twitter):@yamakenta
ローチケ演劇部_白の優先順位高め!
もう今年も終わっちゃう!12月の優先順位高めです、な公演はこちらです!
まずはやっぱりこれですね。梅棒です、梅棒。
梅棒17th Mystery『花婿は迷探偵 -THE FINAL-』。
辛いことがあっても、梅棒観たら元気がでますよね。大好きです。12月31日(日)までやってますので観劇納めの方も多いんじゃないかな。
続きまして、城山羊の会『萎れた花の弁明』。
まあ12月っていうのもあって、今年何が良かったかなぁなんて思い返したりするわけですが、テアトロコントvol.64で上演された切実『朝の人』は良かったと思ってまして。そんな切実のお二人(岩谷さん、岡部さん)も出演されるこの舞台はどうしても見逃せないです。
『混頓 vol.2』も気になっています。
10月のvol.1はどうしても観れなかったのですが、早くもvol.2ですね。ハナコ秋山さんの脚本もですが、画餅/テニスコートの神谷圭介さんが出演するので、こちらも見逃せません!
他にもいろいろと観る予定ですが、“優先順位高めです”な公演は以上です!
今年もたくさん劇場に足を運びました。来年もたくさん劇場に行きたいです。