“今月の”優先順位高めです【2024年10月号】

2024.10.01

10月になりました。すっかり涼しくなり夜なんかは肌寒い時もありますね。さて10月、芸術の秋ということで、舞台を堪能したい気持ちでいっぱいです。10月も公演多いです。何観ればいいかな、なんて悩んでいる方の参考になれれば幸いです。というわけで、今月の「優先順位高めです」です。

脚本家/演出家・萩田頌豊与の優先順位高め!

10月になりました。
東京にこにこちゃん萩田頌豊与です。
今年も残すとこ後2ヶ月です。
これは考えようで、後2ヶ月と捉えるか、まだ2ヶ月もあると捉えるか、その考え方1つで、なんか色々変わると思います。
以下、今月のお奨め。

東京にこにこちゃん『RTA・インマイ・ラヴァー』
僕が単独1人プレイでやらせてもらってる劇団の新作公演です。
今作、あまり馴染み無いRTA(リアルタイムアタック)を題材にした話。
単純に最速でゲームをクリアするゲームスタイルのRTAと人生を掛け合わせた物語となります。RTAはタイムリープでもなく、マルチバースでもないので、ただ人生を早く駆け上がる話になります。どうか難しく考えないで下さい。要はなんやかんやあり、最後は怒涛にハッピーエンドで終わります。これは、バグらせてでも見たかった未来の物語。東京にこにこちゃん『RTAインマイ・ラヴァー』10月2日(水)より開幕。
宜しくお願い致します。ハッピーエンドにてお会いしましょう。

コンプソンズ#13「ビッグ虚無」
盟友、金子鈴幸のコンプソンズも駅前劇場にて新作です。
面白いです。
同じ劇場ですが、東京にこにこちゃんとは違う作品をやります。
続きものでも無く、全く違う作品です。予めご了承ください。
お奨めです。
金子くん。早く呪術廻戦返して下さい。最初から読みたくて困ってます。

中野坂上デーモンズ『かみ』
タイトルあってますか?
デーモンズ復活。悪魔復活。
最高に格好良い、役者達。マジで期待値爆上がりでやらせてもらってます。最高に最高です。

『鎌田順也 舞台作品上映会(ナカゴー作品を中心に)』
これは必ず皆様行きましょう。
渋谷ユーロライブにて。

THE ROB CARLTON 18F「THE STUBBORNS」(ザ・スタボーンズ)
めちゃくちゃ面白そうと思ったので。お奨めさせて頂きます。なんか観た方が良い感じ、存在感が半端なくあります。
三鷹です。

以上。
ローソンチケット演劇部の10月活動報告でした。明日から本番です。
宜しくお願い致します。
よーし!いっけー!!

萩田頌豊与
脚本家。演出家。
日本で最もチケットの取れる劇団『東京にこにこちゃん』主宰。
1991年1月4日生まれ。
身長193cm
体重110kg
X(旧:Twitter):@CollinesBar
公式HP:東京にこにこちゃん 公式サイト

脚本家・演出家・俳優・野田慈伸の優先順位高め!

10月はホントにイカレてるぐらいに公演が色々ありますね。
多分毎月いっぱい公演は行われてるんでしょうけど、10月は目立つモノが多い印象です。

「演劇やライブばっかり見ててどうすんだ、俺たちは暇じゃねえ」って気持ちと、「でも、今見ないと、終わっちゃう、やだ、見なきゃ、見なきゃ」っていう相反する気持ちに雁字搦めに締め付けられる感じ。たまりませんね。矛盾を抱えて生活していきましょう。

まず、●東京にこにこちゃん『RTA・インマイ・ラヴァー』
コンプソンズ#13「ビッグ虚無」です。
こちらは必ず見ましょう。絶対です。

上二つはマストとして、あと気になるところと言えば、
MITAKA“Next”Selection THE ROBCARLTON『THE STUBBORNS』
京都の劇団。上質なシチュエーションコメディ。
綺麗にアイロンをかけた白シャツを着ている横刈り上げサラリーマンなんて見た日には、馬の糞でも投げつけたくなるぐらい混沌を愛している身としては、「上質な?」「シチュエーションコメディ?」とまあ、それだけで敵対心むき出しになるわけなんですが、それでもやっぱり評判がいい。
面白いらしいです。絶対笑わせてくれるって。
信頼している人たちが言っていました。じゃあ見ないと。
見た後は多分涎たらした犬みたいに「面白かったですぅ!」って言ってる気がします。
楽しみです。

「ピローマン」
有名な作品なんで今更ですが、映画「スリー・ビルボード」の監督、脚本、製作のマーティン・マクドナーが2003年に書いた海外戯曲。もともと戯曲でデビューしたイギリス及びアイルランドのブラックユーモアを特徴とする劇作家みたいです。
見たことないので見たいです。

MCR30周年記念公演「ガラクタ」
誰にも媚びてなさすぎる姿に痺れるMCR。30周年記念公演ですって。30年って。凄すぎる。
破滅的なのに、情緒にあふれ、優しく包まれるのかと思いきや、絞め殺されるかもしれないと思う。観劇するたび、そんなハチャメチャな気分にしてもらえます。
記念公演という事で日替わりゲストが30人以上出るみたいです。意味が分かりません。

ひとつよくわかっていないものを、
謎音研究所「謎音-水底から鳴る鐘-」
説明呼んだ限り、街の音を聞きながら一緒に歩く。ツアーパフォーマンスのようなもの。みたいです。しかもお客さんは一人づつ。ちゃんと、作演出も、出演者もいるし、上演時間もあります。
いや、不思議。多分「謎音」なんだから、音が重要な要素なんだと思います。
街を歩き、音を聞きながら、それを活用しながら演劇(かは不明ですが)を上演する。
面白そうでしょう。

後10月はホントに他にもいっぱいあって、
東葛スポーツ『ドリームハウス、●ダダルズ『ダダルズのアブラ』、●ウンゲツィーファ『8thのメビウス』、●中野坂上デーモンズ『かみ』、●明日のアー本公演vol.10『整理と整頓と』、●入江雅人のグレート二人芝居『演劇部のキャリー』…etc
いっぱいです。

先月までは、ここで紹介させてもらったものは、せっかくだしと思って大体は見てたんですが、さすがに多すぎて、10月は全部はちょっと厳しそうです。
優先順位なんだから、もっと絞ったほうがいいんでしょうけどなかなか絞れませんね。
やりすぎ!

野田慈伸
脚本家、演出家、俳優。演劇団体『桃尻犬』主宰。
映像作品の脚本やお笑い芸人へのコント演出などいろいろ活動中。
X(旧:Twitter):@naraduke7

俳優・田代明の優先順位高め!

「秋の風だねぇ」で何度会話を始めたかわかりません。
日々風を感じて歩いております、田代明です。
では、今月も参ります。

『セツアンの善人』
反戦を訴える作品や、資本主義を風刺した作品を数多く世に送り出してきた劇作家ベルトルト・ブレヒトの代表作。「人はどこまで善人でいられるのか」「人はお金で幸せになれるのか」という現代社会に生きる我々にも通じるメッセージをストレートに訴えかけてくる作品。葵わかなさん演じる心優しき娼婦のシェン・テは、善人である事と生きる事の両立の困難さに苦しみます。
音楽劇としても楽しい今作を、演出の白井晃さん、そして若手からベテランまで個性あふれる17名の素敵なキャストの皆さんがお届けしてくれます。

ヒラタオフィス+TAAC 「not only you but also me」
TAAC=タカイアキフミと、公演ごとに集まった同志の表現者たちが、前のめりに、妥協なく創造・共創する集団、だそうです。TAACさん、ずっと気になっていたのですが、今回友人であり、素敵女優さんの伊藤歌歩が出演するという事で注目しています。
屋上から飛び降りた女子高生と、飛び降りた女子高生の真下にいて巻き添えをくらった女子高生、そんな2人をきっかけに物語は進んでいきます。本人達不在のまま行われていく議論の果てには何が待っているのか…あなたと、わたしの、あいだ、には、何があるのか。何もないのか。「多様性」とさまざまな「境界線」について考える作品。

ヴィンチェンツォ・ベッリーニ『夢遊病の女<新制作>』
少し毛色が違いますが、舞台作品という事で…!
大学時代にたくさん学んだ作曲家であるベッリーニ、そして今作1幕のアミーナのアリアはコンクールの勝負曲にも選んだ思い出深い一曲です。
ベルカントオペラの礎を築いた作曲家ベッリーニ。ベッリーニ作品は日本ではあまり上演される機会はありませんが、イタリアでは上演される機会の多い人気のオペラ作曲家です。ぜひそのメロディラインや戦慄の美しさ、そして超絶技巧を繰り広げる歌手達の歌声に酔いしれてみてはいかがでしょうか。

劇場にはいつでもいろんな風が吹いています。
劇場を出た後に感じる風が心地良かった時、その時は素敵な演劇体験ができた証。
今月もいろんな風に吹かれたいものです。

田代明
俳優・歌手
北海道札幌市出身。東京藝術大学声楽科卒業。
X(旧:Twitter):@akkarindays

俳優・佐久間麻由の優先順位高め!

こんにちは、10月!2024年の個人的ビッグイベント、『リバーサイド名球会』スリーピルバーグス第2回野外公演 in スタジアム!という公演が無事に終幕しまして、あとは年末までゆるりと過ごすべし、と思っていたのですが、次の公演、その次の公演、と、準備をがしがしはじめました。スキです、演劇が。というわけで、スキの気持ちを込めながら、10月の優先順位高めをお届けいたします。

東京にこにこちゃん『RTA・インマイ・ラヴァー』
本当は、東京にこにこちゃんが大好きなこと、こっそりひっそり胸にしまっておきたかったのですが、でも、そんなふうにして、そんなふうにする人がいっぱいいたら、大好きな劇団がなくなってしまうこともあるかもしれない…、と想像してからは、声を大にして言おうと思ってます。大好きです。ぜひ観て!

入江雅人 グレート二人芝居「演劇部のキャリー」
入江雅人さんと桑原裕子さんによる二人芝居。2021年に上演した1日限りのリーディング公演がとっても面白かったので、情報解禁になったときから楽しみにしていた公演!!ちなみに、2018年にオクイシュージさんと野口かおるさんで上演された「演劇部のキャリー」も面白かったです!ぜひ。
 
コンプソンズ#13「ビッグ虚無」
いいタイトル!いい布陣!いいリード文!いいフライヤー!
しっかり4拍子揃っていて、まぶしいです。今作も見逃せない!!是が非!
 
チャミチャム case3 『いちごオレ飲みながらアイツのうわさ話した』
波多野伶奈さん主宰のチャミチャム、第3回公演!共演は、波多野さんのお友だちという関彩葉さんに土本橙子さん!戯曲は、ロロの三浦さん!いやあ、めちゃくちゃ楽しみです!3人とも画餅に出演されてたという共通点もありますね。いやあ、たのしそうだ!お友だちと公演やれるのとか、最高じゃあないですか!ぜひ。
 
阿佐ヶ谷姉妹単独ライブ6「おもひでは秋桜のように」
なんかもう、ぜったい、しあわせな気分になれるじゃないですか。観に行く前からそんな風に思わせてくれるお2人が尊すぎます。すき。
 
劇団ヅッカ#2『陽光』
不勉強ながらはじめて存じたのですが、前回公演も今回公演もビジュアルがとっても素敵で…。出演者の皆さんも魅力的な方々が…。ここここれは、気になります!みたい!
 
 季節の変わり目、ココロもカラダもご自愛ください。
日々を豊かにしてくれるような作品に、今月も出逢えますように……。

佐久間麻由
俳優・企画制作。劇団「スリーピルバーグス」所属。企画ソロユニット「爍綽と」主宰。
X(旧:Twitter):@mamamayuuuu
公式サイト:https://www.lespros.co.jp/artists/mayu-sakuma/

脚本家/演出家/俳優・滑川喬樹の優先順位高め!

10月もやっぱりおもしろそうな公演が随分ありますね。
今回もほぼコメディーの選出になってしまって恐縮なのですが是非ご参考にしていただければと思います。
だいぶ涼しくなって劇場にも出かけやすいですね。

すごい生命力『すごい始まり』イズモギャラリー
安藤安按さん、長井健一さん、波世側まるさんの新ユニットが始動します。
その記念すべき第1回目の公演に「なかないで、毒きのこちゃん」の鳥皮ささみさんと共に作演出で呼んでいただきました。大変面白い方ばかりなのでどうぞご期待ください。いいタイトル考えるなあと感心しています。チケットが2,000円とだいぶ良心的。

明日のアー本公演vol.10『整理と整頓と』SOOO dramatic!
アー(旧明日のアー)の本公演です。今年で10年目と言う節目に一度「整理と整頓」をするらしいです。常にロジカルで理知的な主宰大北さんの繰り出す今のユーモアを観に行きましょう。変化し続けるアー。おほしんたろうさんが脚本協力に参加しているとこも注目です。

シベリア少女鉄道『君がくれたラブストーリー2024』赤坂RED/THEATER
一度見ると癖になるシベリア少女鉄道が2016年の『君がくれたラブストーリー』の再演をするとのこと。なんでこんなに複雑でおもしろの脚本を何本も書けるのだろうと毎回驚いてしまいます。伏線が回収されていく心地よさはもちろんのこと面白さが詰まったストーリーと魅力的な役者陣。観に行かないと。
 
東京にこにこちゃん『RTA・インマイ・ラヴァー』駅前劇場
今年の2月に観た「ネバーエンディング・コミックス」でファンになりましたのでだいぶ新参者ですが、あれだけのおもしろを詰め込んでおいて物語も素敵だなんてそれはみんな好きになるよなあと。またあのギャグのシャワーを浴びに行きたいなと思ってます。

MITAKA“Next”Selection THE ROBCARLTON『THE STUBBORNS』三鷹市芸術文化センター 星のホール
まだ拝見したことないのですが、評判を耳にして観に行きたいと思っている団体さんです。今一番気になっています。知り合いが絶賛しておりましたので優先順位だいぶ高めです。大人なジェントルなコント?なのでしょうか。私の好きな星のホールだし。楽しみにしています。

『鎌田順也 舞台作品上映会(ナカゴー作品を中心に)』ユーロライブ
もう生で観れないと言う悔しさもありますが映像で残っていることが宝ですよね。素晴らしい企画なのでここでたくさんの人に鎌田さん作品と出会ってもらいたいなと思う気持ちです。そういう私も5、6本しか観てないのでもっと知らない作品を観たいと思っています。

東葛スポーツ『ドリームハウス』コンプソンズ#13「ビッグ虚無」チャミチャム『いちごオレ飲みながらアイツのうわさ話した』などもおすすめです。是非是非皆様劇場に。

滑川喬樹
脚本家・演出家・役者。
自称武蔵野市代表コントユニット「エトエ」主宰。
X(旧:Twitter):@nametakaki
エトエ公式HP:https://etoe.amebaownd.com/

脚本家/演出家・海路の優先順位高め!

海路です。みろって読みます。
急に寒くなってきましたね。びっくりしてます。はい、寒いです。身体冷えきった時に食べる家系ラーメンが好きです。
てなてなことで、10月の優先順位高めな作品はこちら!!

東葛スポーツ公演『ドリームハウス』
販売開始から1時間ちょいでチケット完売。今回は勝てましたチケット争奪戦。会場は前回公演同様、北千住のシアター1010の稽古場で、今回板橋駿谷さんが出られるということで楽しみ倍増しております。先日、木ノ下歌舞伎の『三人吉三』を観に行った時、ラップを作詞されていてびっくりしたのですが、東葛でどんなラップを繰り広げるのか、個人的ウキウキポイントです。

コンプソンズ#13「ビッグ虚無」
ずっと気になっていて、けどずっと観に行けてなかったコンプソンズ。今年の岸田國士戯曲賞最終候補にもノミネートされ、今飛ぶ鳥を落とす勢いで、その新作。ただタイトルは「ビッグ虚無」。この逆説的なような空気から面白そうな香りがプンプンしてます。会場は先日、来年3月からビルの改修工事で休館が発表された駅前劇場。このチャンスは逃せません!

第36回 新宿御苑 森の薪能
こちらも個人的に超楽しみな公演。能楽の公演なのですが、薪能(たきぎのう)という屋外で篝火(かがりび)を焚いて、しかもそれを新宿御苑でやるという、年1回の激あつ演目でしてワクワクしてます。演者には野村萬斎さん、観世銕之丞さんと豪華。是非幽玄の世界へ!

その他にも東京にこにこちゃん『RTA・インマイ・ラヴァー』や、新宿梁山泊『ジャガーの眼』など、気になる公演目白押しです!

海路
脚本家。演出家。監督。
劇団papercraft主宰。アミューズ所属。『檸檬』にて第29回劇作家協会新人戯曲賞を受賞。
1999年7月20日生まれ。
X(旧:Twitter):@nonde_miro
劇団papercraft公式HP:https://gekidan-papercraft.amebaownd.com/

批評家・山﨑健太の優先順位高め!

ようやく涼しくなってきて芸術の秋も本番。観たい舞台も仕事も盛り沢山で嬉しい悲鳴の10月です。

今月の優先順位高め1本目はお布団『アンティゴネアノニマス‐サブスタンス/浄化する帝国』。ブレヒト版『アンティゴネ』のあまりにアクチュアルな改作としてのガチSF演劇が再演。私は再演にあたってコメントも寄せていますが10月9日(水)にはアフタートークにも出演します。初めてのお布団ならこれ!という傑作、かつ分断される世界に真摯に向き合った作品なのでこの機会に是非。

2本目はイエデイヌ企画 2024年公演 再演『エリカによろしく』。2023年のマイベストの1本が早くも再演。しかもブラッシュアップしての上演になるとのことでこれは必見。男性二人の関係とその変化を描いた、ある意味ではどうということのない物語はしかし、やがて奇妙な展開を迎えることになります。初演では世界がぐにゃりと歪むような衝撃を受けました。こちらにも推薦コメントを寄せています。

3本目はコンプソンズ#13「ビッグ虚無」。ものすごいタイトル以外はほとんど何もわからないままに公演を見ることになりそうですが、フライヤーに刻まれた「自分の選んだ悪夢に忠実でありましょうや!」という言葉はコンプソンズの誠実さをずばり示したキャッチコピー。笑いとともに自らの業を引き受け現実と対峙するコンプソンズの覚悟を見届けたい。

そしてもちろん10月最大の楽しみはKYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭。なかでも個人的注目は日本初登場のジャハ・クー / CAMPOの『ハリボー・キムチ』です。タイトルからしてもう面白いのですが韓国料理をモチーフに「キムチ文化の進化や海藻スープの重要性について」の洞察などを含む作品とのことで一体どんなパフォーマンスになるのか。

芸術の秋、楽しんでいきましょう〜。

山﨑健太
批評家・ドラマトゥルク。演出家・俳優の橋本清とともにy/nとして舞台作品も発表しています。
X(旧:Twitter):@yamakenta

ライター・井ノ口裕子の優先順位高め!

10月に入ってやっと暑さが収まって、秋の冷っとした空気が嬉しい今日このごろです。気持ちの良い季節、観劇に出かけましょう♪
 
Bunkamura Production 2024『台風23号』
人間のちょっと下品で嫌なところを独特なユーモアを散りばめた描き出す赤堀雅秋(作・演出)の新作です。台風が迫るとある町を舞台に、そこに生きる市井の人々が描かれます。赤堀演出は演者の周知のイメージを覆すことでも定評があり、2019年上演の『美しく青く』では、主演の向井理さんのいい意味でのカッコ悪さを観ることができて面白かったです。今作は森田剛さんと間宮祥太朗さんのW主演。濃いめな二人が赤堀演出でどう変化するのか楽しみです。
 
甦夢THEATRE「黄金仮面-masque dore-」
江戸川乱歩の名作ミステリー『黄金仮面』の舞台化作品です。これはキャストに惹かれて注目しています。明智小五郎 役は、ミュージカル『テニスの王子様』、舞台『弱虫ペダル』など2.5次元の人気作で主演を務めてきた小越勇輝さん。黄金仮面 役は、『レ・ミゼラブル』はじめ多くの作品で圧倒的な歌唱力を披露しているミュージカル俳優の岡幸二郎さん。二人のタッグにより多彩な音楽で表現されるのはどんな舞台なのか、期待しています。
 
ミュージカル『燃ゆる暗闇にて』
個人的にちょっと韓国発ミュージカルにハマっております。この作品はスペインの劇作家の戯曲を韓国ミュージカル界の名コンビ、演出のソン・ジョンワンと作曲・音楽監督のキム・ウニョンがミュージカル化。盲学校を舞台に、転校生が来たことで起こる変化を軸に「幸せ」についての真意を問う物語。韓国ミュージカルならではの衝撃的な結末に注目です。
 
今月の2.5次元は人気作がラインナップ!
 
『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage -Grateful Cypher-
「ヒプステ」の新作。今作では、原作に登場する6ディビジョン(イケブクロ、ヨコハマ、シブヤ、シンジュク、オオサカ、ナゴヤ)に加えて、舞台オリジナルディビジョンのハチオウジ・ディビジョン”WESTEND-MAFIA”が登場。魅力的なキャラクターたちが繰り出す熱いラップバトルで元気をもらえる舞台です。
 
ミュージカル『刀剣乱舞』 祝玖寿 乱舞音曲祭
ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズの九周年を記念した大型ライブ公演です。20振り以上の刀剣男士が出演するステージは、とにかくお祭り気分で楽しめますよ。10月5日(土)~10月6日(日)の福井公演からスタートして、北海道、広島、大阪、愛知、福岡、千葉、宮城、神奈川9都市を巡るアリーナツアーで、会場ごとに変化する演出にも注目。
 
MANKAI STAGE『A3!』~Four Seasons LIVE 2024~
イケメン役者育成ゲーム『A3!』を舞台化した「エーステ」。2020年以来4年ぶりの、【春組】【夏組】【秋組】【冬組】ほかシリーズに登場するキャラクター29名が勢ぞろいするスペシャルLIVE公演です。原作アプリゲームでも人気の各組劇団員をシャッフルして構成されたミックス公演を回替わりで上演します。2.5次元舞台の王道、キラキラのキャラクターたちに眼福してください♪

井ノ口裕子
ライター。観劇の入口は中学生のときの宝塚。それから観劇は一番の趣味です。小劇場からグランドミュージカルまで、ジャンルは問わず面白そうと思ったら何でも観ます。

ライター・釣木文恵の優先順位高め!

演劇もお笑いも豊作の10月ではありますが、今回はどのジャンルともいいがたい2つの作品を。
 
ミステリーピューロランド−大鶴肥満 緋色のウェディング−
時々、思いがけないお笑い関連のイベントを開催することのあるサンリオピューロランド。関係者の中に相当なお笑い好きの方がいるのだろうと思っていましたが、今回はまた随分と凝ったイベントを開催しています。『ミステリーピューロランド−大鶴肥満 緋色のウェディング−』は、「お笑いミステリーコント」と名付けられた催し。ママタルト・大鶴肥満さんの結婚披露宴で事件が起き、そこに参列した芸人仲間たちが推理を繰り広げるようすを、来場者も参列者として見守るという、いわゆるイマーシブシアター的なもののようです。脚本は謎解き作家である稲村祐汰さん、演出は構成作家の白武ときおさん。お笑い要素はもちろんのこと、演劇や謎解き要素もありそうなこの作品、どんな仕上がりになっているか気になります。
 
学校の77不思議からの脱出
謎解きといえばこちら。謎解きブームの仕掛け人であるSCRAPが手掛けるリアル脱出ゲーム。これ、ヨーロッパ企画が2019年に上演した『ギョエー!旧校舎の77不思議』を下敷きにしているのです。脚本は酒井善史さん。イベント内で流れる映像は山口淳太さんによる撮影で、ヨーロッパ企画の面々が出演します。思えば、SCRAPが京都でフリーペーパーを作る団体だったその創生期から、ヨーロッパ企画とは何かと親しくしていた記憶。それが時を経てこんなふうにコラボすることになるとは、いち観客としても感慨深いものがあります。
 
10月は演劇でも見逃せないものがたくさんあります。観るたびがつんと脳を揺らされる感覚に陥る団体・東葛スポーツ『ドリームハウス』、ウェルメイドの極み、MITAKA“Next”Selection THE ROBCARLTON『THE STUBBORNS』。コントグループ破壊ありがとうの木下もくめさんが出演する東京にこにこちゃん『RTA・インマイ・ラヴァー』コンプソンズ#13「ビッグ虚無」には浅野千鶴さんが。お笑いでは先月ご紹介したコンビ大喜利『AUN』の本戦。スケジュールをにらんでは、パズルのように観劇予定を組み込む日々が続きそうです。

釣木文恵
演劇を中心にインタビュー記事などを執筆。最近はお笑い関連の仕事も増えてきました。
X(旧:Twitter):@troookie

ライター・岩村美佳の優先順位高め!

ようやく秋と言える季節になりそうですね。10月に心待ちにしている舞台は、ブロードウェイミュージカル『ニュージーズ』です。2021年の日本初演を拝見しましたが、終始大興奮の舞台でした。1899年のニューヨークを舞台に、新聞販売の少年たち“ニュージーズ”の奮闘を描くミュージカルですが、まず、曲が最高です。名作曲家アラン・メンケンさんの数々の名曲を聴ける喜び。そして、特に印象に残っているのは、跳躍する新聞販売の少年たちの姿です。困難な状況を切り開いていく様には、悲壮感ではなく、爽快感を覚えました。今年のキャストの方々も楽しみ。新たなジャックの岩崎大昇さんは、これまでの舞台も拝見していますが、新たなミュージカルスターとして駆け上がって欲しいと期待しています。宝塚退団後一作目のミュージカル出演となる、星風まどかさんの新たな舞台が楽しみ。横山賀三さんはキャリアも実力もあり、今後のグランドミュージカルでの活躍も期待しています。信頼しかない石川禅さん、初演から続投の加藤清史郎さん、霧矢大夢さん。新たに生まれる『ニュージーズ』を期待して待っています。
※岩崎大昇の「崎」は「たつさき」が正式表記

ミュージカル「9 to 5」も楽しみな作品です。明日海りおさん、平野綾さん、和希そらさん、3人の女性社員がハラスメント社長への復讐作戦を決行する、痛快ミュージカル・コメディとのこと。ポップなビジュアルも印象的です。三者三様に華やかな魅力と実力を併せ持つ皆さんですが、3人が一緒になったらものすごいパワーが生まれそうですよね。笑ってスッキリして、パワーチャージする時間を過ごしてきたいです!

岩村美佳
ライター。フォトグラファー・ライター。初観劇は小学生の時に観た宝塚。ミュージカルを中心に色々と観劇しています。配信観劇も存分に楽しめるようになりました。超絶猫好き。
X(旧:Twitter):@nyanyaseri

ライター・河野桃子の優先順位高め!

毎週のように「観たい!身体が足りない!」の悲鳴が聞こえる秋ですが、身体はひとつ。でも優先度高めは選びきれなかった…ので、ちょっと多めになってしまいました。
公演日順に、

東葛スポーツ『ドリームハウス』は、完売速度はやめなんですがやっぱりおすすめしたいくらい楽しみ。

PANCETTA TOUR 2024 IN TOKYO “声”、初演は今思いだしてもにやついてしまい、今回なんと稽古場開放という素敵試みもしていた!

コンプソンズ#13「ビッグ虚無」、意図せずも年末の私的ベスト3に入りがち劇団です。

ウンゲツィーファ10周年記念演劇公演『8hのメビウス』、とくに近作の完成度の高さが記憶と体験に残っています。

unrato#12 『Silent Sky』はこの素敵な戯曲を広がる宇宙をみあげるような作品にしてくれるだろうという信頼できる座組です。

劇団温泉ドラゴン第19回公演『痕、婚、』はプレ企画としてリーディング公演でのフィードバック受けて来年度上演するという、前回とても功を奏した企画を再びに。

森崎事務所M&Oplaysプロデュース『峠の我が家』、岩松了さんの舞台はいつも、肌に残りますね。

7作のぎゅうぎゅう詰め合わせでした!

河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
X(旧:Twitter):@momo_com

ローチケ演劇部_白の優先順位高め!

なんか急に涼しくなりませんでした?もっと徐々に涼しくなって欲しいものです。10月です。10月は個人的にも激アツ案件並んでるんです。

まずは、東京にこにこちゃん『RTA・インマイ・ラヴァー』
怒涛のボケ数と純度200%のハッピーエンドをお届けする東京にこにこちゃんですが、次なるテーマはRTAとのこと。ゲームとかRTAとかよくわかんない方でも大丈夫。きっととびきりな物語を見せてくれるはずです。これはもうマストです。

同時期に公演やっています、THE ROB CARLTON 18F「THE STUBBORNS」(ザ・スタボーンズ)も見逃せません。こちらも良質なコメディ作品を売りとする劇団ですが、東京にこにこちゃんとは雰囲気も全然異なります。濃密な男性3人のコメディを観させてくれることでしょう。

そして、東葛スポーツ『ドリームハウス』。東葛スポーツはいつだってかっこいい。ラップにサングラス、演劇の概念をぶっ壊して最高の作品を観させてくれることでしょう。板橋さん久々の出演も楽しみです。

下旬にはアーがありますよアーが。
明日のアー本公演vol.10『整理と整頓と』です。
ローチケ演劇宣言!でも連載してくれている大北栄人さん率いるアー久々の公演です。連載『わかる!ユーモア』を読んで公演への期待を高めましょう。

他にも外せないのが、鎌田さんの作品を映像で上演する『鎌田順也 舞台作品上映会(ナカゴー作品を中心に)』コンプソンズ#13「ビッグ虚無」中野坂上デーモンズ『かみ』などを。10月忙しい!